愛を読むひと
数日前、眠れなくて久々にHuluをのぞきました。
会員のままなのに、全然観ていない…
静かな映画が観たいなと思って
なにげなく選んだ「愛を読むひと」。
観てるうちに眠れるかなーと思っていたら
どんどん引き込まれてしまい、
涙ぼろぼろで結局朝まで眠れませんでした(^-^;)
なぜあんなに感情を揺さぶられたのか分かりませんが
予想と全然ちがう作品でした。
恋愛ものではないと思うし
「愛」と、ひとことでくくってしまうのも違う。
よく分からないのです。
でも、そうせずにはいられなかった、ということだけは分かる。
世の中、きれいに言葉におさまる感情ばかりではない。
すべての行動が善と悪にぴったりおさまるわけでもない。
何にプライドを持ち、恥を感じるかの基準も
驚くほどに人それぞれ違う。
先日、ナチスの収容所に関する本を読んだばかりですが
奇しくもこの作品にもそれが大きく関わってきました。
そういう作品は他にもたくさんありますけど
それぞれ視点が違っていて深く考えさせられます。
この作品は、ドイツが自らの罪を裁いたもの。
罪深い時代であったと同時に、
目に見えない犠牲者もたくさんいたのだろうと。
そして、その消えない歴史を抱えて生きる人々の気持ちは
とうてい想像できるものではない。
時代に抗えるだけの強さを持った市井の人々が
一体どれだけいるのでしょう。
少なくとも私は自信がありません。
今ですら、気づかないうちに飲み込まれていることが
多々あるというのに。
印象に残ったシーンはたくさんありましたが
the に丸をつけていくシーンは鮮烈でしたね…
(観た人にしか分かりませんが)
あそこで涙が止まらなかった。
そしてラストの残酷さ。
とにかくケイト・ウィンスレットが素晴らしくて。
彼女の演技が、すべてに説得力をもたらしていたように思います。
近年、大好きな女優さんの一人です。
少年も、レイフ・ファインズも良かったですけど、
レイフ・ファインズは「シンドラーのリスト」で
残酷なナチスの将校を演じていた印象が強烈なので
ちょっと雑念が入ってしまった…
この作品には原作の小説があります。
ドイツの作品です。
小説の邦訳は「朗読者」。
映画もこのタイトルで良かったんじゃないかな…
「愛を読むひと」って何か違う感じがして
タイトルについていろいろ調べてしまいました。
映画はドイツが舞台ですが英語で製作されており
原題は「The Reader」です(アメリカ・ドイツ合作)。
女のために本を読み続ける男、
本当にそれだけの意味なのかな?なんて深読みしてしまいました。
ダブルミーニングがあるような気がして。
…結局は深読みしすぎでした。えへ。
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ドイツ語原題の Der Vorleser は男性単数形であり、明らかに主人公ミヒャエルを指している。『朗読する男』と訳すことも可能だったが、先に訳された英語版のタイトルが The Reader となっており、編集部の提案に従って『朗読者』とした。
-「朗読者」訳者あとがきより- (訳者:松永美穂さん)
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どうしても原作が読みたくなって、図書館で借りてきました。
楽しみです。
この秋は、仕事の合間にやたらと本を読んでいます。
県立と市立の図書館が徒歩圏にあって幸せです。
ある日の帰り道。
平和公園近くの川沿いにある「カフェ・ポンテ」が
まるでクリスマスのような装いでした(^^)
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