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2012年11月の記事

2012/11/17

風の笛

昔ほど、新譜やアーティスト情報を追いかけることもなくなったけれど
それでもやっぱり、音楽ってふしぎな力があるなと思う瞬間があります。

今まで何度か、遠くの友達が曲を贈ってくれたことがありました。
それは、自分で編集したCDだったり
youtubeのリンクだったり、iTunesのギフトだったり。
どうしようもなく落ち込んだときでも、
そんな曲を聴くと元気になれたりする。
ありがとうーと心の中でつぶやきつつ^^

どの曲も、時々そっととりだす宝物です。

* * * * *

先日は、広島の友人に誘われて
ノラ・ジョーンズのコンサートに行ってきました。
アルバム一枚しか持っていないくらいの私でも
どっぷり浸れてしまう素晴らしいライブでした。
やっぱり、こういう心の栄養は大切だなーとしみじみ。

一緒にいった彼女はデビュー当時からのファンだそうで
いろんな想いがあふれてくるのが伝わってきました。

私はこの曲がお気に入りに♪ かっこよかったー
Sinkin' Soon

* * * * *

そしてノラ・ジョーンズの会場で
来週、中島みゆきのコンサートがあることを知りました。
高校の頃からファンで、いつか生で聴きたいと思いつつ
いつもチケット争奪戦に敗れていて。

なんとかして行きたい…!
もちろん完売していましたが、どうにかチケット入手。

そして久々に新譜「常夜灯」をチェックしてみたら
何とも味わいが変わっていて…
試聴しただけで涙が出そうでした。
すぐにアルバムを購入。

中でも「風の笛」が心に沁みます。
みゆきさんらしい、優しいエール。


「言いたいことを言えば傷つく
大切なすべてが傷つく

言葉に出せば 通じることもある
言葉に出せば こじれることもある

黙るよりほか思いつかず
決めたんなら それもいいだろう

言葉に出せない想いのために
おまえに渡そう 風の笛
言葉に出せない想いのかわりに
ささやかに吹け 風の笛」


今まで友達が贈ってくれた曲たちは、
この風の笛みたいなものかもしれないなーなんて
ぼんやり思いました。


「リラの花咲く頃」も涙が出てきます。
祖国を離れて、思いを残して咲くリラの花。

「見上げれば 空の色さえも馴染みなき異郷にあって」
「それでも 時が来れば花は香る」


そして続く「倒木の敗者復活戦」

「泣き慣れた者は強かろう」
「傷から芽を出せ 倒木の復活戦」

この曲の力強さもみゆきさんならでは。
東北、に聞こえてしまったんですよね最初。

アルバムに震災へのメッセージをこめたのか、と質問されて
はっきり言葉にしなくとも想いがこもらないはずはないですよね、と。
みゆきさん、そんなことを語っていたそうです。


「ピアニシモ」という曲に象徴されるとおり、
全体的に、語りかけるような優しい曲が多い。
声を張り上げなければ何も届かない、と思っていた「私」が
ピアニシモで歌うことで初めて聴こえたものがある、と。

長い年月を経て変化してきたみゆきさんの姿が
鮮やかに見えるような一枚でした。


死ぬまでに一度は、と願っていたみゆきライブ。
最初から最後まで泣き通しなの間違いないなー(^-^;)
アルバム聴くだけでこれだもの…

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2012/11/16

【アプリ】 図書館日和

引っ越してきて、今一番幸せなのは図書館が近いこと。
歩いて5分ほどのところに県立図書館、20分ほどで市立図書館。
市立図書館は区ごとに多数ありますが、相互取り寄せ可能。
まだ利用したことはないのですが広島大学の図書館もあります。

前に住んでいたところは近くの図書館が小さくて
あまり利用していませんでした。
でも、読みたい本を次々に買っていると
あっという間に部屋が本で埋まってしまう…

今は、近所に本棚がいくつもある気分です(^^)
でもHPの検索機能はイマイチなので
いつも、このiPhoneアプリを利用しています。
図書館日和

あらかじめ、よく利用する図書館を登録しておいて、
気になる本があったら書名を入力。
すると、どの図書館に所蔵されているか、
貸し出し中か、等が一度に分かり、
その場で予約もできてしまうのです。
借りた本や読みたい本の記録も可能。

なんて便利♪

たいていの本はどこかで見つかりますが、
ない場合にはamazon等のリンクにすぐ飛べます。
借りる前にそこでレビューを確認したりもできます。

館ごとの個性も分かってきて面白いですねー。
もちろん、手元に置いておきたいと思った本は
後に購入します。
書き込みしながら読みたい本もありますし。
新刊中心の書店との違いを楽しみたいものです。

Toshokanmae

図書館前の川べりも、紅葉がはじまりました^^
広島は、街中にも紅葉がたくさん。

図書館の静けさって、すごく独特だなぁと思います。
静かな場所って他にもいろいろあるはずなんですけど
なんていうか、音のない音があるような。
心地よくて大好きな空間です。

昔よく通った小名浜の図書館、なつかしいな。
子供のころは広いと感じていたけれど、
今行ってみたらきっと小さいんだろうな。

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2012/11/05

ベストセラー翻訳の裏側

「朗読者」を一気に読み終わり、
とても良かったので感想を書きたいと思いつつ
次に手に取った本が面白すぎてまた一気に読んでしまいました。

ハリー・ポッターの翻訳者、松岡佑子さん著
「ハリー・ポッターと私に舞い降りた奇跡」。


翻訳の裏側…と言っても、この本は万人にお勧めしたい。
ひとつの自伝として、とても面白いです。

ハリー・ポッターのファンはもちろん、
通訳・翻訳を仕事とする方々
(松岡さんはもともと、MIIS等で教鞭をとるほどの同時通訳者です)、
頑張るためのモチベーションが欲しい方、
つらいことがあって立ち止まってしまいそうな方…
誰が読んでもヒントをもらえる本だと思います。

ハリー・ポッターは、
映画のシリーズ途中から仕事で関わってきたこともあり
翻訳本も原書も持っています。
映画も、後半にいくにつれハマったものでした。
でも、この本の方がハマってしまった。

松岡さんは、なんと福島県南相馬市のご出身。
同郷ということでまず親近感が生まれて。
ハグリッドの大らかな訛りは、東北弁を参考にしたとか。

映画化が決まったときの不安。
字幕の監修を依頼され、戸田奈津子さんに
「原作を読み込んでいる立場として、
セリフを変えさせていただくかもしれない」と伝えたエピソード。
「もちろんOKです」という戸田さんの謙虚な姿勢。
しかし、修正はプラスマイナス1文字以内で、という
クライアントからの厳しい制限。

ベストセラーとなり、気軽に著者と連絡もとれなくなって
訳語選びに苦労した話。
完結まで10年かかった長編ですから、伏線なども多く
真意が分からないと訳しづらいところが多々あったと思います。
でも、著者サイドが秘密主義を貫く中で
どうにか翻訳書を出し続けなければならない。

そこで、なんと世界各国のハリー・ポッター翻訳者たちで
チャットルームを立ち上げたそうです。
「ハリー・ポッター」は60数カ国で翻訳書が出されています。
その翻訳者たちがインターネットで繋がり、
いろいろな解釈をめぐり議論をし合ったとのこと。
このことは全然知りませんでした。
翻訳者たちのプレッシャー、熱意、
そして作品への思い入れが感じられるエピソードです。

作品を読む前にタイトルを決めねばならない、というのも
なんと厳しい条件だろう…と思いました。
内容に関する質問にも答えてはもらえない。
たとえば「half-blood prince」は
「half-blood」が差別表現になりうる国もある、と
翻訳者たちで著者にかけあったそうです。
「mysterious」という表現ならOKとこの時は返事がきて
日本版では「謎のプリンス」となったとか。


翻訳に関する部分を中心にメモしてみましたが
とにかく半端じゃない努力を重ねてきた方だということが
よく分かる本でもありました。
そして、旦那様の死をはじめとして
つらいことをいかに乗り越えてきたかという、その強さ。

全編を通して、旦那様への愛がひしひしと感じられました。
受け継いだ出版社を、何としても潰したくない。
そこで出会った Harry Potter という一冊の本。

奇跡のような、運命のような、
でもやっぱり切り開いてきたのはご本人の行動力。

様々な出会いが繋がって、思いを共有する仲間ができ、
大きなプロジェクトが実現していく過程はとても感動的で
偶然と必然は紙一重だな、と思えてきます。

ずっと手元に置いておきたい一冊となりました。

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なんだか、一気に寒くなってきた今日このごろ。
こたつは置かないようにしているのですが
ホットカーペット+毛布でもほぼ同じ効果がありますね…
心地よすぎる(>_<)
でも、そんな中での読書は至福のひととき。

毎年思うけど、大好きな秋はみじかいな。
さよなら秋空。

Akizora

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2012/11/02

【仕事関連】 読書メモ

勢いに乗って、直近で読んだ本をメモっておきます。
英訳の仕事が次々に入ってきており、
新鮮で楽しい反面、勉強不足を感じることも多々あります。

○「英語ライティングルールブック 第二版」

積ん読にしていたのを反省…すごく面白かったです。
「文法編」から始まるのですが、
そこがちょっと退屈で止まってしまっていました。
英文を書かねばならない、という必要性に迫られていなかったのも
一因かもしれません。

今回、あやふやだった「句読法編」から読み始めてみたら
一気に読んでしまいました。
コロンやセミコロン、括弧の使い方など丁寧に解説されています。
次に「語法編」。
類義語のニュアンスの違いも発見がたくさん。
そしてイギリス英語とアメリカ英語の違い、差別用語などにも言及。

この本は、興味のあるところから開くのが正解かもしれません。
もちろんレファレンスとしても使えますが
通読して良かったと思います。


○「aとtheの底力」

定番ですが、再読。
冠詞は、分かったつもりになっても
頭をひねる局面に何度も出会います…
この本は概念を分かりやすく説明してくれていて
同業者の方たちの評価も高いです。


○「わかりやすい英語冠詞講義」

同じ本を繰り返し読むのも大切ですが
別の視点から書かれたものを読むと
はっと気づくことがあったりもするので、こちらも。

冠詞は、結局は大量に英文を読むことで
感覚を身につけるしかないのだろうなと思います。
洋書も読んではいますが、まだまだ絶対量が足りない。
仕事で読む文書は偏っているので…

洋書は、辞書がすぐ引けるようKindleで読むことが多いです。
今は「The Film Club」を読んでいます。
邦訳は「父と息子のフィルム・クラブ」
わりとマニアックな映画の知識が出てきて、
映画ファンならきっと楽しめそうな一冊です。


○「弁理士が基礎から教える特許翻訳のテクニック」

ふと手に取った一冊でしたが、
著者が翻訳者になるまでの個人的な背景などについて
詳しく書かれているところが興味深く面白かったです。
特許制度について頭の整理にもなります。
パリルート、PCT、拒絶査定などについて
流れを追って説明されています。
そして、特許庁やWIPOのサイトの活用法についても。

2011年の出版なので情報も新しめですし
入門編としてもオススメできそうな一冊です。
後半は、特許に頻出の表現について解説されているようで
まだ未読ですが復習のため目を通したいと思っています。


本は、「時間ができたら読もう」と思っていたら
絶対に読めないんですよね(自戒)。
時間は作る、というように心がけたいなと思っています。

とりあえずお風呂は読書タイム。
こんなのが大活躍です(^^)

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デスク周り買い物メモ

そういえばデスクトップPCを新調したのでした。
DELLのVostro 260S。Windows 7。
(お決まりの懸念事項、SST G1も問題なく動きます^^)
ワイドディスプレイでだいぶ快適になりました。
デュアルディスプレイにしたいかも…

到着してからも多忙でなかなか手をつけられず
一ヶ月以上たってやっとセッティング。
少々トラブりつつもすんなりお引っ越し。
やはりPCは二台ないと不安ですね。

今はクラウドにデータを置いておけるのが本当に便利。
昔に比べたらデータのやりとりもすんなり。
ブラウザの設定やらスケジュールやらも
自動で同期されてしまうし、
ATOKもpassportなのでそのまま引き継げてしまう。


そして、前から気になっていた電子辞書もポチリ。

衝動買いに近く、もう少し他のモデルも見るべきだったかな…
なんて思いつつも初日から大活躍しています。
もっと早く買えばよかった。

PCにつないで使うPASORAMAモードがメイン用途です。
なので、セイコーのこのシリーズしか考えていませんでした。
ランダムハウスや海野さんの辞書など
以前から持っているものも多くて二の足を踏んでいたのですが、
百科事典や国語辞典、理化学辞典、
その他専門用語辞書なども一気に引けてとっても快適です。
もちろん英英やリーダーズなども入ってます。

いざとなったら単独で持ち出せるし、
これで3万だなんて本当にお買い得。
動作もシンプルでサクサクです。


目の疲れもひどかったので、
巷でうわさのPC用メガネも少し前から試しています。
まぶしさが軽減されて、明らかに負担が減っている感じ。
お試しで安いものにしてみたけれど、これで十分かも。


いろんなオススメ情報をくださる同業者さんたちに感謝(^^)

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2012/11/01

愛を読むひと

数日前、眠れなくて久々にHuluをのぞきました。
会員のままなのに、全然観ていない…

静かな映画が観たいなと思って
なにげなく選んだ「愛を読むひと」
観てるうちに眠れるかなーと思っていたら
どんどん引き込まれてしまい、
涙ぼろぼろで結局朝まで眠れませんでした(^-^;)

なぜあんなに感情を揺さぶられたのか分かりませんが
予想と全然ちがう作品でした。
恋愛ものではないと思うし
「愛」と、ひとことでくくってしまうのも違う。

よく分からないのです。
でも、そうせずにはいられなかった、ということだけは分かる。

世の中、きれいに言葉におさまる感情ばかりではない。
すべての行動が善と悪にぴったりおさまるわけでもない。
何にプライドを持ち、恥を感じるかの基準も
驚くほどに人それぞれ違う。

先日、ナチスの収容所に関する本を読んだばかりですが
奇しくもこの作品にもそれが大きく関わってきました。
そういう作品は他にもたくさんありますけど
それぞれ視点が違っていて深く考えさせられます。

この作品は、ドイツが自らの罪を裁いたもの。
罪深い時代であったと同時に、
目に見えない犠牲者もたくさんいたのだろうと。
そして、その消えない歴史を抱えて生きる人々の気持ちは
とうてい想像できるものではない。

時代に抗えるだけの強さを持った市井の人々が
一体どれだけいるのでしょう。
少なくとも私は自信がありません。
今ですら、気づかないうちに飲み込まれていることが
多々あるというのに。

印象に残ったシーンはたくさんありましたが
the に丸をつけていくシーンは鮮烈でしたね…
(観た人にしか分かりませんが)
あそこで涙が止まらなかった。

そしてラストの残酷さ。

とにかくケイト・ウィンスレットが素晴らしくて。
彼女の演技が、すべてに説得力をもたらしていたように思います。
近年、大好きな女優さんの一人です。
少年も、レイフ・ファインズも良かったですけど、
レイフ・ファインズは「シンドラーのリスト」で
残酷なナチスの将校を演じていた印象が強烈なので
ちょっと雑念が入ってしまった…


この作品には原作の小説があります。
ドイツの作品です。

小説の邦訳は「朗読者」
映画もこのタイトルで良かったんじゃないかな…
「愛を読むひと」って何か違う感じがして
タイトルについていろいろ調べてしまいました。

映画はドイツが舞台ですが英語で製作されており
原題は「The Reader」です(アメリカ・ドイツ合作)。
女のために本を読み続ける男、
本当にそれだけの意味なのかな?なんて深読みしてしまいました。
ダブルミーニングがあるような気がして。

…結局は深読みしすぎでした。えへ。

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ドイツ語原題の Der Vorleser は男性単数形であり、明らかに主人公ミヒャエルを指している。『朗読する男』と訳すことも可能だったが、先に訳された英語版のタイトルが The Reader となっており、編集部の提案に従って『朗読者』とした。

-「朗読者」訳者あとがきより- (訳者:松永美穂さん)
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どうしても原作が読みたくなって、図書館で借りてきました。
楽しみです。


この秋は、仕事の合間にやたらと本を読んでいます。
県立と市立の図書館が徒歩圏にあって幸せです。

ある日の帰り道。
平和公園近くの川沿いにある「カフェ・ポンテ」が
まるでクリスマスのような装いでした(^^)

Photo


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