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2012/07/01

カウリスマキ監督特集-「浮き雲」

「ル・アーブルの靴みがき」の公開に合わせ、
カウリスマキ監督の特集が組まれていました。
その中の「浮き雲」を先日鑑賞。
1996年のフィンランド映画。

Poster

つつましく暮らす共稼ぎの夫婦が、
四年ローンで思い切ってSONYのテレビを買う。
ところが直後に夫が失業。
励ます妻に追い打ちをかけるように、こちらも失業。
さて、二人の職探しが始まる…。

次々に不幸が重なり続けるので
ちょっと事態が好転しても
「いやまだ油断できない」と身構えてしまう。
変な緊張感はありましたが、とても淡々とした作品。
それでいて不思議に退屈しませんでした。

来る日も来る日も職探しに追われる二人を見ていると
人間って何のために生きてるんだろう?
なんて一瞬思ってしまうのだけれど
すぐにそんな考えは吹き飛んでしまいました。

一生懸命な二人の姿が美しくて。
働くって、それだけで尊いことだなと思えてきます。
誰も彼もが好きなことをできるわけじゃないし
世の中にはいろんな仕事がある。
でも、小さなひとつひとつが尊いものなのだと。
別にみんなが偉い人を目指さなくていい。

生きること、それ自体が苦しくも素晴らしいことだなと
ぼんやり感じました。

何があっても無言で支え合う夫婦の姿は
少し異色でありながらも、強い信頼と絆を感じさせます。
何も語られないけれど、すべてを乗り越えられたのは
二人が寄り添っていたからじゃないかなと。

希望の見えるラスト。
肩を寄せ合って雲を見上げる二人の姿が胸に沁みます。


最近ちょっと元気がなかった友達に、
ぜひ観せたいな。
なんて思った作品でした。


笑いのセンスって、一番文化の違いが見えますね。
ロシアの作品を観たときも強く感じたけれど
今回も、独特のセンスが感じられて面白かったです。
「ん?笑っていい…とこだよね?」って感じで。


最後に私の仕事部屋からの浮き雲。
落ち込みそうになったときには、とりあえず空を (^-^)

Ukigumo

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コメント

一瞬、高峰秀子と森雅之主演の「浮雲」かとおもいました
うっちーさんの感想を読んでいますと、華やかではなさそうですけど、しっとりと心に残る作品のように思います
新居の近くに気に入りの映画館が見つかるとよいですね
私は、カワウソのミジビルに夢中です

投稿: 明美 | 2012/07/01 16:20

>あけみさん
はい、しっとりと…まさにそんな感じの作品でした。
以前はあまりミニシアター系の作品を観る機会がなかったのですが、今は近所にいくつもそういう映画館があるので、この機会にいろいろ観てみたいなと思います(^-^)広島は、意外に映画の街ですねー。古き良きものがたくさん残っている街でもあります。

カワウソのミジビル、感想拝見しました。とても興味深い…そして、あけみさんの読書量は相変わらずすごいですね!私は最近、なかなか本を読む時間がとれずにいますが、少し暇ができたら思い切り読書にひたりたいなーなんて思ってます^^

投稿: うっちー | 2012/07/01 20:44

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