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2012年6月の記事

2012/06/13

広島との出会い

広島に転居…と簡潔な報告しかしていませんが
何がどう繋がってこうなったのか、
自分でも整理できないほど色んな偶然が重なっています。
私が住んでいたあたりは地盤もゆるく、
大きな地震がいまだに続いてるので
東京西部あたりに引っ越そうかと考えてはいたのですけど。

初めて広島を訪れたのはこの時。
IJET-23プレイベントin 広島

でも、普通だったら行ってなかったでしょうね。遠すぎるし。
知人も親戚もいなかったし、
一生来る機会のない土地だったかもしれません。

引っ越したのは震災が直接の原因ではないけれど、
去年あちこちに足を向けたのは震災があったからだと思います。
関東は余震と放射能騒ぎで息がつまるばかりだったし
とにかく後ろ向きになるばかりの気分を変えたかった。
視野が偏っていくのも怖かった。

福島があれこれ言われているときに
「広島だって、50年も草木も生えないって言われてたんだよ。
 元気になった街を一度見においで!」
と声をかけてくれた方がいたのも大きい。

IJETというイベントの開催地が広島だったというのは
本当にすごいタイミングだったと感じてます。
初めて訪れた広島で原爆ドームを見上げてしばらく動けず、
資料館では核による生々しい被害を目の当たりにして。
被爆した広島大学の校舎にも案内してもらったり。

そんな中に、見事な復興の軌跡があった。

とても、勇気をもらったのを覚えています。
と同時に、日本人でありながら
なぜ今まで訪れようとしなかったのだろうとも。

それらを抜きにしても純粋に一度で惹かれた街でした。
美しいのは、一度すべてを失ったからだと分かっていても。

ここに住んでみたいな、ぼんやりそう思ったりはしたけれど
まさか実行に移すことになるとはその時は想像もしなかった。
でも、さらにいろんなことが重なり今は広島市民です。

人生、本当に何があるか分からない。
いつ死んでも悔いのないように行動しておこう。
震災後はそんな思い切りのよさが強まりました。

友達はほとんど関東にいるので
やっぱり少し寂しいなと思うこともあり
この街にどれだけ馴染めるかはまだ未知数ですが。

でも、静かに自分と向き合う時間も悪くない。
心の距離が近い友達は、どこにいても繋がっていられるし。
仕事も引っ越し後、すぐ順調にペースを取り戻しました。

しばらくは新しい街で深呼吸してみようと思います。


Dome


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2012/06/12

ミッドナイト・イン・広島

正確にはミッドナイトではないですが(^-^;)

数日前、なんだかとっても蒼かった夜。
月が明るかったからかな。

Aoiyoru


路面電車、大好きなんですけど
夜は特に好きかも。
ふわりと銀河鉄道になってしまいそうな気がする。

Yoruwohasiru


夜、って不思議な魔力がありますねー。
夜風の気持ちよさは格別だし
窓に灯る明かりが様々な人生を想像させてくれる。

そして窓の明かりから連想するのは
なぜかディケンズの「クリスマス・キャロル」。

とるに足らない自分の人生も
きっとひとつの小さな物語なんだな、なんて考える。


離れてる家族も友達も、みんなそれぞれに頑張ってる。
悩み事は誰しもかかえているし
気軽に言葉をかけられないこともあるけれど
いざって時に力になれる自分でいたいなと思ったり。

とりあえず心でエールを送る。
そんな寝酒のミッドナイト。

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2012/06/07

「ミッドナイト・イン・パリ」

ウディ・アレン監督が描く、パリが舞台のおとぎ話。
冒頭のショットだけで、どれだけ監督がパリに惚れ込んでいるかが
ひしひしと伝わってきて、一気に引き込まれました。
字幕は石田泰子さん。

夜中の0時にある場所に行くと、
古き良き時代にタイムスリップできる。
そんなおとぎ話。
主人公は、ウディ・アレンそのものなんだろうなーと。
理屈抜きで、ひたすら夢の世界にひたれる作品でした。
色彩がとても美しくて。

フィッツジェラルドやヘミングウェイ、
ダリやロートレック。
そんな芸術の花咲く時代を垣間見られるだけで
無条件に楽しい。

マリオン・コティヤールがとにかく魅力的。
「エディット・ピアフ/愛の讃歌」ですごい女優さんだなと思い
「インセプション」での演技も素晴らしかったけれど。
本作でまた、抗いがたい魅力を発揮していました。

どの時代の人物たちも「あの頃は良かった」と
過去を礼賛しているのが面白い。
結局、「今」が一番得がたい時なのよね、なんて思いつつ
時に懐古趣味に走るのもまた楽し、そんな気分で鑑賞。

パリに惚れ込んで
「一度住んでみたい!」と思う主人公にとっても共感。
でも婚約者には分かってもらえない。
ささいな感性の違いって、実は何より大きい。

何気なく街を歩き回るのが好きかとか。
雨のパリを楽しめるかとか。
そんな小さなすれ違い。
ラストシーン、好きです。

すっかり浸りきって帰り道は足取りも軽く、
脳内にはシャンソンが流れ、元安川がセーヌ川に思えました。
そんなの私だけかもしれませんが。
タイムスリップの車、迎えに来てくれないかなー。

今回行ったのはこちらの映画館。
サロンシネマ

引っ越してきて初めて、やっと行くことができました。
座り心地の良い、テーブル付きの広い贅沢なシート。
まさに古き良き映画館。

今、こんな映画館に通うことができるのを幸せに思いつつ
全盛のシネコンもいつか懐かしく振り返るときが来るのだろうなと
過去と未来に思いを馳せたひとときでした。

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2012/06/06

IJET-23広島に参加して (2)

余韻の残るうちに続きを…

○2日目

1コマ目-英日翻訳ワークショップ:コミュニケーションのための翻訳-翻訳文の「ながれ」について考える
実は、これは1~2コマ通しの内容だったのですが、諸事情により1コマしか聞けませんでした。JATの会員は後に録画を見られるはずなので、そちらをチェックしたいと思っています。JAT翻訳コンテストの課題文を取り上げて細かく解説していくもので、笑いもたくさん交えた楽しい講義でした。課題文以外にも、例えば原稿にある「in fact」が訳されていないということで訳抜けだ、という騒動になったお話なども。「in fact」を必ずしも「実際に」と訳すわけではない、英語のリズムでは必要な単語でも日本語のリズムでは省いて良い場合もある、などという具体例が多く挙げられました。

2コマ目の諸事情はこちら。

Okonomi

3コマ目-Evernoteのローカライズに関わったらIJET-23広島にたどりついた
なんと、スピーカーの中村氏の本業は歯科医師。趣味で、惚れ込んだアプリの日本語化をボランティアでやっているうちに、SNSでEvernoteのCEOとつながり、さらにその通訳をしていた関根マイク氏と知り合うことでIJETに招かれる…というSNSの無限の可能性も感じられるお話でした。自分が惚れこんだアプリだから、どうにかして日本にもその良さを浸透させたい、その思いだけで大量のテキストと格闘する日々。伝えたい思いがある、という翻訳の原点を垣間見た気がしました。そして思うだけでなく実行に移していくことで、何かが生まれつながっていく。仕事の効率化、収入を増やすための手段、そんなものとは対極の内容がとても新鮮でした。「同じことをやり続けていても未来はない」という言葉がとても印象に残っています。

4コマ目-翻訳会社本音トーク:グローバル市場における翻訳の品質管理
こちらも4~5コマ通しのパネルセッションだったのですが、どうしても5コマ目に聞きたいものが他にあったので、前半しか聞いていません。前半のみの印象という前提でいえば、片方の会社は主に自社の宣伝に終始。私の周囲は「何なのこれ?」と次第にざわざわしてくるほど。もう一方の会社は、具体的な数字を出しつつ率直な話をしてくれていたという印象です。

何より印象に残ったのは「雑だけどスピードのある翻訳者が一番の稼ぎ頭」というお話。後の飲み会では「雑な翻訳って一体どんなの?」としばし議論のネタになるほど、印象深い一言でした。日々、良い翻訳とは何かを考えている身にとっては、「雑な翻訳」の定義が理解しがたい。クライアントからスピードを求められる→上手い翻訳者はだいぶ先までスケジュールが埋まっている→雑な翻訳者に頼まざるをえない、という事情は分からなくもないのですが。「みんなが時間をかけて良い翻訳をする翻訳者になってしまったら困ります」と、これまた率直でした。それはそれで清々しかったです。後半はだいぶ盛り上がったようなので、これも後で録画をチェックしたいと思います。

5コマ目-「説明するけぇ よぉ聞きんさい」
こちらもスピーカーの北臺氏の本業は数学者。iPad発売時のビデオに感銘を受け、これを日本にも伝えたいと非公式な吹替え版を作成したところ、あっという間にネットで大評判に。標準語と広島弁で作ったのに、広島弁だけがスポットライトを浴びたとか…ユニークですものね。プレイベントでお会いしたときも面白い方だなーと思っていましたが、プレゼンも終始笑いをとりつつ大盛り上がりでした。やはりEvernoteのお話と同じく、「これを伝えたい!」という強い思いから生まれたもの。話者が「everyday」と言っているところに「変わるでぇ」という言葉をあてて、映像と音がぴったりだ!と悦に入ったといいますが、これは吹替え翻訳ではリップシンクと呼ばれる一つの技術。それを学校で習うわけでもなく、自然と追求している。できるだけ面白さをそのまま伝えたい、という思いがあれば、自ずとたどりつくものなのだ…と感銘を受けました。他にも「New York Times」が出てきたときに、こんなもの広島県民は読まない、と思って「中国新聞」に変えたら大受けだったとか。愛のある翻訳ですよね。

笑いっぱなしのプレゼンの最後に「one more thing...」と。ここで笑いがおきたものの、続く新作に泣かされてしまいました。北臺氏がその場でJonathan IveによるSteve Jobsの追悼スピーチを生吹替えしたのです。その録音バージョンが既にUPされています。スピーチ自体が良かったのはもちろん、淡々と広島弁で吹き替える北臺氏の姿から心底愛情が伝わってきたのでした。思いは人を動かし、それは連鎖していく。そんなことを感じました。


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真面目ぶって色々書いてきましたが、
今回はとても思い出深い初参加のIJETだったので
記録しておきたいなと。

1日には前夜祭があり、
会場近くのバーで100人以上が集まりました。
なんと、引っ張り出されて初めてダンスを経験しました(笑)
浴衣姿の方も大勢いらして、とても華やかで目にも楽しかったです。
ここで知り合えたことで、
次の日に話しかけやすかったという面もありました。

2日の夜はディナークルーズ。こちらはなんと約200人。
お酒が入ると次第に緊張もとけてきて
楽しいお喋りと綺麗な夜の景色を楽しみました。

Itsukushima

解散後は適当にグループに分かれて
お酒や珈琲、お好み焼き(!)など。
自由な雰囲気がとても良かった。まさにお祭り。
3日の夜も誘われるままに明け方まで飲んでしまいました。

ランチも前夜祭の前も、
思い思いに皆さん楽しまれていたと思います。
私も引っ越したばかりなので、
懐かしい関東の方々にお会いできて本当に嬉しいひとときでした。
別れ際、ちょっとうるっときてしまった…
(みんな優しすぎるんだもの!)

後半はちょっと酔っ払いつつ書いてしまいました。
きっと忘れられないイベントになると思います。

運営委員の方々には心からの拍手を!
JATは非営利団体です。
これだけのイベントをボランティアで作り上げるなんて
それこそ「思い」がなければできないのではないかと。
どうもありがとうございました。

最後に、ボロボロになったプログラム冊子の写真。
これ、本当に使いやすかったです。
裏表紙にプログラムの一覧があってすぐに確認できるし
メモのページも便利で活用させていただきました。
記念にとっておきます♪

Program

書き切れないことがたくさんありますが、
とにかく今はお会いできた皆さんにありがとう!と言いたいです。

そしてまた、いつかどこかで再会できることを
楽しみにしています(^-^)

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2012/06/05

IJET-23広島に参加して (1)

2012年6月2~3日、広島市にてIJET-23(第23回日英・英日翻訳国際会議)が開催されました。IJETは初参加だったのですが、勉強になるセッションがたくさんあるだけでなく、前夜祭やランチ、ディナークルーズを通して多くの方々と交流することができました。セッションはもちろん真剣に聞きましたが、その他の時間は堅苦しいことを抜きにして盛り上がり、まるでお祭りのような楽しい3日間でした。

もっとハードルの高いものかと思っていましたが、勉強中の方もいらっしゃいましたし、「仕事を獲得するためのネットワーキング」というだけでなく、「同業の知り合いが増えたらいいな」くらいの気持ちで気楽に参加しても良いのではないかなと思います。フリーランスは孤独ですしね。私はどちらかというと後者です。日本と海外で交互に開催されており、来年は6月1~2日にハワイで開催が決定しています。旅行の良いきっかけにもなりそう。

自分の聞いたセッションを簡単にメモしておきたいと思います。
IJET-23プログラム一覧

○1日目

1コマ目-基調講演「感性のマツダロードスター」
感性を大切にしつつ1台の車をどう作り上げていったか…翻訳とは直接関係のないお話でしたが、車の知識がほとんどない私にとっては新鮮で興味深かったです。ただ、「原子力はエネルギー資源の少ない日本にとって絶対に必要なものです」というくだりはどうしてもいただけなかった。まさか平和公園内の会議場でこんな話を聞くことになるとは思いも寄りませんでした。もちろん福島原発にも触れられ、福島県民を責められているようにも感じ、終盤は聞いているのが苦痛に。東と西との温度差を感じた一瞬でもありました。

2コマ目-特許翻訳ワンダーランド?!-No, it's a real world.
内容は基本的なものと聞いていましたが、広島にある会社の方がスピーカーだったのでこちらに。特許翻訳者に必要とされる適性やスキルを丁寧にお話してくださいました。最後に明細書の一部を使いワークショップのような流れになったのですが、時間切れに。具体例が入ってくるとグッと面白くなるので、このあたりをもっとじっくり聞きたかったなと少し残念でした。1時間というのは(お話が面白いと)あっという間ですね。

3コマ目-パネルセッション:翻訳の品質管理
この時間は他のコマに出ようと思っていたのですが、パネリストの1人が株式会社クロスランゲージの方だと気づき急遽こちらへ。そう、あの東北観光博サイトの誤訳騒動を引き起こした会社です。この話は出るのかな…と思っていたら冒頭ですぐに参加者からその件についてツッコミが入り、終始その話になった感がありました。会社としては「自動翻訳の精度については最初に伝えてあり、用語集を要求しても一度も貰えなかった、なので仕方がなかった」というようなお話でしたかね…この方が直接の担当者というわけではないのでお気の毒ではありますが、どうもすっきりしない一幕でした。

4コマ目-Pecha Kucha 法人化!
法人化するメリット、デメリットについてのパネルセッション。立場の違う方々が揃っていて面白かったです。法人化するとやはり信頼度は格段にアップする、と。特に女性だと主婦の片手間仕事と思われることもありますが、社長という肩書きがあるだけで相手の態度が変わるというお話には納得。1人では処理できない仕事量でも、他の人を雇ったり割り振ったりすることもできる。ただ、給与や税金の処理がやはり面倒そうだなという印象。まだ私自身は考えたことがありませんが、とても勉強になりました。

5コマ目-音声入力ソフト活用における2つの盲点
このコマ、とっても面白かったです。音声入力ソフトはほとんど使ったことがないのですが身近で日常的に活用している方もいるので、実演が見られるということでどんなものかな~と参加してみました。使用ソフトはドラゴンスピーチとアミボイスというもの。精度は年々上がっているようですが、英語と日本語でだいぶ差があるようです。日本語は漢字変換があるのでハードルが高いですね。例えば1パラグラフを一気に音声入力して、その後修正を入れていくわけですが、修正の手間によっては最初から入力してしまった方が早い。入力による負荷、腱鞘炎などのリスクを軽減するために使用しているはずなのに、結局はキーボードを多用することになる。もちろんソフトも学習していくわけですが、実質的に効率が上がるまでには年単位の時間がかかる、と。特に和訳に関しては、まだあまり現実的ではないのかなと感じました。ソフトの学習が進めば効率は1.3~3倍程度上がるそうです。ただ、スピーカーの方が携わる特許分野などではそうかもしれませんが、例えばニュース記事の翻訳など、毎回さまざまな新しい用語が登場する分野では厳しそうだな…と個人的に思いました。


簡単なメモ、と言いつつ何だか長くなってしまったので、2日目や交流パーティーについてはまた後日、書きたいと思います…と言いつつ力尽きませんように。

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転居のご報告

突然ですが、5月末に広島市に引っ越しました。

ずっとバタバタしていて
個人的にご連絡できていない方が大勢いらっしゃるのですが
取り急ぎ、ご報告まで。

とても美しく住みやすい街です。

Hirosima


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