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2012年3月の記事

2012/03/31

映画撮影の裏側とスターの素顔 - 「マリリン 7日間の恋」

マリリン・モンローと若き助監督との7日間の恋…という触れ込みですが、ちょっといただけません。マリリンはどう見ても恋してるわけではないし、コリンがほのかな恋心を抱いているだけ。いまいち安っぽい邦題になってしまって、もったいないなーと。

予告編はこちら。

恋愛映画ではなく、あの時代の映画界、演劇界、ハリウッドの裏側を覗くという意味でとても楽しめる映画でした。字幕は戸田奈津子さん。

演技法に関して、シェークスピアの舞台などで鍛えてきたローレンス・オリヴィエと、ストラスバーグに教えを乞うマリリンとでいちいち対立したり。オリヴィエの隣にはいつもヴィヴィアン・リー。赤狩りの時代なのでエリア・カザン(「エデンの東」の監督)の名前などもちらりと登場します。

ヴィヴィアン・リーの伝記は私の愛読書で、もう何度も読んでいるんですよね。エキセントリックでありながら、なんとも魅力的な人間性。上流階級に生まれたヴィヴィアンの人生は、ハングリー精神でのし上がってくる人が多いこの業界ではちょっと異質で、とても興味深い。

オリヴィエを崇拝し、愛しすぎたがために、劣等感と嫉妬に苦しみ続けたヴィヴィアン。そのエピソードは伝記にも登場し、マリリンと共演が決まったときに精神状態が不安定になった様子なども描かれていました。

また舞台育ちのオリヴィエが、映画では舞台と同じように演じると大げさになりすぎる、というようなギャップに悩んでいたことなども伝記にあって。そういったものを再現して見せてくれた、という意味で興味深く面白い映画でした。

オリヴィエ役のケネス・ブラナーはさすがの演技です。ただ、ヴィヴィアン役がどうしても…ダメでした。思い入れがありすぎるのかな…でもイメージ違いすぎる(>_<) 誰がいいのかと聞かれても思い浮かばないのですが。本当に、唯一無二の女優さんだったなとしみじみ思います。マリリンよりも、ヴィヴィアンが気になってしょうがなかった(笑)

ずいぶんと話がそれてしまいましたが、実は私はマリリンの作品をほとんど観たことがありません。デビューしたてで超端役だった「イヴの総て」くらいかな。あまり彼女の作品自体に惹かれたことがなかったのですが、手始めにこの映画の背景となっている「王子と踊り子」から観てみたいなと思いました。舞台裏、面白かったので。こんなに真剣に演技に取り組んでいた人だとは、恥ずかしながら知りませんでした。

人間としてのマリリン・モンロー、ノーマ・ジーンという女性には興味があり、彼女に関する文章はいくつか読んだことがあります。複雑な生い立ちで苦労を重ね、非常にコンプレックスを持った人だったと。グラマーな金髪美人とくくられて、頭が悪いと決めつけられるのをとても嫌がっていたとか。

そのあたりの葛藤はよく描かれていたと思います。演じるミシェル・ウィリアムズがとても良かった。クレジットを確認したら、歌も全てミシェルが歌っているようですが、魅力的で心地よい声。イメージもぴったり。体重を増やし、腰にはパッドを入れて体型を近づけようと頑張ったそうです。

ジュディ・デンチもさすがの存在感。いいとこ持っていくなーという感じでした。

ここまで書いてきて気づきましたが、原作者でもあり準主役でもあるはずのコリンの存在感は薄かった(笑)。スターにあこがれる坊やとしてはそれで正解なのかも。ハリー・ポッターのエマ・ワトソンも出てますが、チョイ役です。

物語はもう少し掘り下げられたんじゃないかなと思わなくもないですが、ほんの一週間を切り取った映画なので贅沢を言ってはいけませんね。

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この時は旅先の古い劇場で観たのですが、ゆったりしていてとてもよかったです。足も伸ばせるしソファみたいな椅子で、テーブルまで付いていました。シネコン全盛期ですが、こういう劇場は残っていってほしいなーとしみじみ感じた日。こんな映画館が近所にあったら通うのになぁと。

予告で一番気になったのは「アーティスト」。間違いなく面白い予感がします。早く観たい!(^^)

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2012/03/12

震災から一年

一日過ぎてしまいましたが。
昨日は静かに過ごしました。
様々な情報に心乱されることのないよう
できるだけネットやテレビには触れないように。

いろんな言葉を書いては消し、ですが…
一年前と比べて前進できたと思う部分はたくさんあります。
復興に関してはまだ問題も山積みですが、命の重みを感じつつ、
これからも少しずつ良い方向へ進んでいければと
ただそれだけを願います。

つい東北、福島、と言ってしまうものの、
茨城も千葉も沿岸部は津波の被害が大変でしたし
液状化の問題もだいぶ尾を引いていました。
関東一帯の人々もみんな大変な思いをしました。
そして、去年は他の地域でも
大きな地震が起きた年でもありました。

そんなこんなを考え合わせるとなかなか言葉が出ません。
皆自分たちのことで大変であろう中、
力になってくれた方が大勢いました。
私も親身なメッセージをたくさんいただきました。
友人知人からも、Twitterなどを通して見知らぬ方々からも。

言葉では言い尽くせないほど感謝しているのですが
そういう方たちはつらい気持ちを吐き出せずにいたかもしれないと
複雑な気持ちもあります。
当時の私はそんなことに思い至らなかった。

昨日は、それぞれがいろんな思いを抱えていたと思うし
それは決して共有できないものかもしれません。
そして、どちらが大変だったかなどと
比べられるものでもないのですよね。

多くの人が少しでも気持ちを整理できていればと
願ってやみません。


そんな自分も14:46、亡くなった方々に手を合わせながら、
気持ちの整理どころか涙があふれて止まらなくなりました。
様々なことが、昨日のことのように思い出されました。

そして、走りに出ました。
先日書いたNikeのイベント「Run Together」です。

走っていると、気持ちが少しずつ昇華されるような感覚がありました。
一歩ずつ、脚を前に出せばいい。行けるところまで行こうと。
同じ日に、離れた場所でも走ってくれている友達がいました。
それもとても励みになって。

結局、走ったのは自己最長の13km。
これは思った以上に良いイベントなんじゃないかなと感じました。
不思議な一体感があって、気持ちも前向きになる。
私が単純なだけかもしれませんが。


「悲観は感情、楽観は覚悟」

友人が教えてくれた、アランの「幸福論」からの言葉です。
今の私にはとても刺さる言葉でした。

悲観的になってばかりだった震災直後の自分。
あの頃とは確かに変わったと思います。
これからも、できるだけ光の見える方向に向かっていきたい。
自分にできることを少しずつやっていきたい。
そんな思いでむかえた一年目でした。

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2012/03/09

3月11日に走りませんか-Run Together

Nikeが、3月11日にこんなイベントを企画しています。
全国どこからでも、好きな時間に参加できます。
エントリーも11日まで受け付けているようです。

Run Together

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ミッションは、3月11日(日)に参加したNike+ランナーの合計走行距離が日本の外周に当たる32,000kmを突破することです。参加者のランニング1kmにつき500円及び当サイト上でのソーシャルメディアの応援1回につき1円を米国NPOのArchitecture for Humanityを通して、被災地復興のために寄付します。(RUN TOGETHER全体での寄付金額上限を20,000,000円とさせていただきます)
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Nike+のアプリと会員登録が必要なのがちょっと手間ですが
普段から使っている方などいらしたら、ぜひ。
私はアプリを購入してエントリーしました。
(Nike+ GPS のiPhoneアプリで170円)

自分にはせいぜい数キロのジョグが精一杯だと思いますが
歩きでも構わないし、1日に何度データ送信してもいいそうです。
条件は、3月11日中であることだけ。

ランナーの方も、そうでない方も、
ぜひ一緒に遠隔ラン&ウォークしませんか(^-^)

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去年は3月13日に栃木の大会に参加予定でしたが
当然のように中止となり。

原発事故が起こって、しばらくは鬱気味で籠もりきりの日々。
ある日久々にジョグに出てみたら、見上げた青空がとても綺麗で
汚染された故郷の空を思うと、悔しくて悲しくて
涙が止まらなくなったことがありました。
それ以上走れず引き返したのを覚えています。

あの時は、絶望にも近い気分だった。
アクアマリンもハワイアンズも
再開の日なんて来ないんじゃないかと思った。

でも、今は違う。
もちろん、まだまだ問題は山積みなのだけれど
現地の人々の頑張りを見たり、多くの人たちに支えられたりする中で
助かった命の重みを感じ、
前進と復興を信じることができるようになった。

だから、少しでも走りたいと思います。
あの日々と、これからの東北の未来に思いをこめて。



これ、32,000kmに到達しなかったらどうなるのかな…?

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2012/03/08

楽しい美味しい! - 復興支援酒場 in 新橋

今、期間限定で新橋に「復興支援酒場」がOPENしています。
東北(岩手、宮城、福島)の郷土料理と地酒がメインの
居心地の良いお店です。
なんと、9月末まで営業利益のすべてを
被災地三県に寄付してくださっています。

もともとが秋田にある会社ということで
同じ東北の企業として被災地を応援しようと企画されたとか。
9月末まで非営利で、とは
なかなかできないことではないでしょうか。

この酒場の存在を知って、行ってみたい!と思い
つぶやいたところ、ありがたくもすぐに乗ってくれた友人たちがいて。
少し遅くなりましたがさっそく行ってきました。

美味しいのはもちろん、何とも愉快で楽しいお店でしたよ~(^O^)
店員さんのサービス精神が最高です。
写真も何枚か撮ってきて、食べログにレビューを書きましたので
興味のある方は覗いてみてください。
復興支援酒場 銀座店 口コミ

お醤油ですら三県別に並べてあって、色も微妙に違う。
「次は何県にする~?」なんて会話も楽しかったです。

私が行ったのは土曜日で、店内はガラガラでした。
ゆっくりできて良かったのですが、
こんなに楽しいお店なのにもったいないなーと思います。
平日はどうなのでしょうかね。

お近くの方は、ぜひ一度足を運んでみてください。
楽しく美味しく、東北の応援ができるまたとない機会ですし
心からオススメできるお店です^^

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こんなお店があって、すごく良かったよ~♪という話をしていたら、
今度、通訳翻訳仲間の有志で復興支援飲み会をやることに。
声をかけたらあっという間に20人以上集まってしまい
ちょっと感動しています。

飲みたいだけの人がいてもいいんです。
それが結果的に支援につながるなんて、めっけもんですよね。
力まず、忘れず、細くても長く。
いろんな形で応援を続けていければいいなと。

3月11日が近づいてきて心がざわざわする日々ですが
東北の未来が多くの人々の思いに支えられていることを
しみじみと感じています。

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2012/03/03

映画誕生へのオマージュ 「ユゴーの不思議な発明」

先日、「人生はビギナーズ」を観に行った時(これもとても良い作品でした!)に大行列ができていた「ヒューゴの不思議な発明」
3Dの評判が良く、スコセッシ監督ということもありとても気になって
初の3D映画体験になるかもなーと思っていました。

翌日、本屋さんに行くと原作の「ユゴーの不思議な発明」が山積み。
何気なく手にとってみてびっくり。
こんな本だったんだ…

2007年に出版され、訳書もその頃に出ていて
コールデコット賞を受賞していたそうですが全然知らなかった。

映画が面白かったら、時間ができた時に読んでみようかな。
そう思って本屋さんをあとにしたものの、どうしても気になって
結局引き返してしまいました。
映画を観るとイメージが定着してしまうし、
やっぱり原作はまっさらな状態で読んでみたいなと思ったので。

家に帰ってページをめくると
あっという間に引き込まれて一気に読了。
レビューはブクログに書きました。
特に映画好きな方々にはイチオシの作品です。
ブクログレビュー 「ユゴーの不思議な発明」

何も知らず子供向けかなーという先入観があったのですが
これは映画誕生の歴史を少しは知っている人でないと
本当の意味では楽しめないのではないかと思います。
古き良き時代を知る、昔からの映画ファンの方々にこそ
強くオススメしたい作品です。
(…と言いつつ、私はその時代を生きていないわけですが)


今、初めて映画の予告を観てみましたが
イメージぴったりで何だかすごくワクワク。

しかし「えー、ここ見せちゃうの?!」という部分も(^-^;)
ネタバレの尺度って難しいですね…
(レビューを書くときにも、いつも悩む点ですが)

どことなく「ニュー・シネマ・パラダイス」を思い出す部分もある。
失われゆく時代を引き止めようとするような。
原作は、そんな映画愛にあふれた作品でした。


ただ、絵を堪能するには文庫はやはり小さいのが難点。
現在品切れのようですが、
原書のハードカバーも欲しいなと思っています。

 

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