映画撮影の裏側とスターの素顔 - 「マリリン 7日間の恋」
マリリン・モンローと若き助監督との7日間の恋…という触れ込みですが、ちょっといただけません。マリリンはどう見ても恋してるわけではないし、コリンがほのかな恋心を抱いているだけ。いまいち安っぽい邦題になってしまって、もったいないなーと。
予告編はこちら。
恋愛映画ではなく、あの時代の映画界、演劇界、ハリウッドの裏側を覗くという意味でとても楽しめる映画でした。字幕は戸田奈津子さん。
演技法に関して、シェークスピアの舞台などで鍛えてきたローレンス・オリヴィエと、ストラスバーグに教えを乞うマリリンとでいちいち対立したり。オリヴィエの隣にはいつもヴィヴィアン・リー。赤狩りの時代なのでエリア・カザン(「エデンの東」の監督)の名前などもちらりと登場します。
ヴィヴィアン・リーの伝記は私の愛読書で、もう何度も読んでいるんですよね。エキセントリックでありながら、なんとも魅力的な人間性。上流階級に生まれたヴィヴィアンの人生は、ハングリー精神でのし上がってくる人が多いこの業界ではちょっと異質で、とても興味深い。
オリヴィエを崇拝し、愛しすぎたがために、劣等感と嫉妬に苦しみ続けたヴィヴィアン。そのエピソードは伝記にも登場し、マリリンと共演が決まったときに精神状態が不安定になった様子なども描かれていました。
また舞台育ちのオリヴィエが、映画では舞台と同じように演じると大げさになりすぎる、というようなギャップに悩んでいたことなども伝記にあって。そういったものを再現して見せてくれた、という意味で興味深く面白い映画でした。
オリヴィエ役のケネス・ブラナーはさすがの演技です。ただ、ヴィヴィアン役がどうしても…ダメでした。思い入れがありすぎるのかな…でもイメージ違いすぎる(>_<) 誰がいいのかと聞かれても思い浮かばないのですが。本当に、唯一無二の女優さんだったなとしみじみ思います。マリリンよりも、ヴィヴィアンが気になってしょうがなかった(笑)
ずいぶんと話がそれてしまいましたが、実は私はマリリンの作品をほとんど観たことがありません。デビューしたてで超端役だった「イヴの総て」くらいかな。あまり彼女の作品自体に惹かれたことがなかったのですが、手始めにこの映画の背景となっている「王子と踊り子」から観てみたいなと思いました。舞台裏、面白かったので。こんなに真剣に演技に取り組んでいた人だとは、恥ずかしながら知りませんでした。
人間としてのマリリン・モンロー、ノーマ・ジーンという女性には興味があり、彼女に関する文章はいくつか読んだことがあります。複雑な生い立ちで苦労を重ね、非常にコンプレックスを持った人だったと。グラマーな金髪美人とくくられて、頭が悪いと決めつけられるのをとても嫌がっていたとか。
そのあたりの葛藤はよく描かれていたと思います。演じるミシェル・ウィリアムズがとても良かった。クレジットを確認したら、歌も全てミシェルが歌っているようですが、魅力的で心地よい声。イメージもぴったり。体重を増やし、腰にはパッドを入れて体型を近づけようと頑張ったそうです。
ジュディ・デンチもさすがの存在感。いいとこ持っていくなーという感じでした。
ここまで書いてきて気づきましたが、原作者でもあり準主役でもあるはずのコリンの存在感は薄かった(笑)。スターにあこがれる坊やとしてはそれで正解なのかも。ハリー・ポッターのエマ・ワトソンも出てますが、チョイ役です。
物語はもう少し掘り下げられたんじゃないかなと思わなくもないですが、ほんの一週間を切り取った映画なので贅沢を言ってはいけませんね。
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この時は旅先の古い劇場で観たのですが、ゆったりしていてとてもよかったです。足も伸ばせるしソファみたいな椅子で、テーブルまで付いていました。シネコン全盛期ですが、こういう劇場は残っていってほしいなーとしみじみ感じた日。こんな映画館が近所にあったら通うのになぁと。
予告で一番気になったのは「アーティスト」。間違いなく面白い予感がします。早く観たい!(^^)
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