「ユリイカ」
バスジャック事件で心に傷を負った三人が
再生の旅に出る物語。
と言うと、とても陳腐に聞こえてしまうな…。
邦画は勧められてもめったに観ないのだけど
この作品はいつか観たいと思っていて
レンタルショップを三軒ハシゴしてやっとVHSを見つけた…
今は映画も使い捨てっぽくて悲しい。
絵画のような映画だった。
どの場面を切り取っても完璧に。
これは映画館で観たかったな。
三時間半以上もあって、すごく長いのに
ずっと引き込まれていた。
一緒に旅してたのかもしれない。
難解だという声もあるようだけれど
意味など考えることなく、すーっと心に入ってきた。
今の時代、いろんなことが早すぎて
張り切ってるときはいいのだけど
時々ついていけなくなることがある。
そんなとき、すべてを切り離して
ゆっくりこんな映画を観る時間がとても貴重に感じた。
自分を見失いそうになる時もあるし。
立ち止まるのって大切。
周りに飲み込まれないように。
大切なものなんて人それぞれ違う。
そして、あの人も元気でいればいいなと
笑顔でいてくれればいいなと
誰かを思い出すのもいいんじゃないかな。
セピア色だった風景がいつの間にか色を取り戻していて
なぜか涙が出た。
ヴェンダースを観ていない私は
ちょっとだけフェリーニの「道」を思いだす。
海、かな…
言葉を尽くしても伝わらないこともあれば
言葉なんていらないこともたくさんある。
違うタイミングで観ていたら退屈したかもしれない。
今出会えて良かった映画。
そして、ちょっと旅に出たくなった。
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 愛を読むひと(2012.11.01)
- 最強のふたり(2012.10.26)
- それでも、愛してる(2012.10.16)
- カウリスマキ監督特集-「浮き雲」(2012.07.01)
- 「ミッドナイト・イン・パリ」(2012.06.07)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント