いわきへの帰省
先月、福島県いわき市に数日帰ってきました。
変わり果てた小名浜港。
ガラスの破片だらけの港近辺。まだまだ残る瓦礫。
屋根瓦が落ち地面にヒビが入った実家。
傾いたまま人が居住するマンション。崩れたままの塀。
あちこち地面が割れ、隆起や陥没で通行止めのままの道路。
未だ動かない信号。
滞在中にも何度か余震がありましたが
この状況での余震の恐怖は相当なものです。
でも、沿岸を北上してみれば、
さらに言葉を失う状況でした。
「しっかり見ておけ」と父。
千葉県の旭市も津波の被害が酷かったところで
先日通った時に、更地があちこちにできていたのを目にしました。
その時も大自然の脅威を感じたばかりですが。
比べものにならなかった。
何もない。
広範囲で、全てがなぎ倒され、さらわれて
瓦礫の山以外は何一つ残っていない。
ここにどれだけの人たちが住んでいて、
今、その人たちはどんな思いで過ごしているのだろうと
胸が苦しくなりました。
もちろん、うちの知人にもそんな風に家を失った方々がいるわけで。
そんな方たちを思うと、うちは運が良かったとしか言えません。
そして原発から30km圏内にも入るので人けもなく、
すれ違うのは自衛隊の車両ばかり。
こうして家を失った人たち、
そして漁業関係で仕事を失った人たち、
離れている地域ですら苦しい状況にある農業を営む人たち。
これから、どうしていけばいいんだろう。
家族でそんな話をしながら、答えが出るはずもなく。
でも、助かった命に感謝しながら
現実を受け入れて生きていくのが私たちにできること。
現地で感じたのは、今は生きていくだけで精一杯という空気。
いわきで入ったデニーズには
「福島・茨城産の野菜を使用しています」と貼り紙がありました。
「みんなでがんばろう!」と。
お店は賑わっていました。
最近は、政府の発表する数値は信用できないから
やっぱり福島産の野菜は無理、という声を多く聞きます。
個人の選択は自由ですが、顔の見えないネットは恐ろしいもので
「勝手に毒入り食ってろ」なんてわざわざ言ってくる人もいます。
でも、今何も信じなかったら、福島県民はどこへも進めません。
文句だけ言うのは簡単ですけど
他にどんな手段があるのかと問いたい。
農家の方たちがどうなってもいいなんて思えないし
国がきちんと対応してくれればとも思うけれども
そんな議論をしているうちにも今日の、明日の生活があるのです。
出荷規制がかかった時の、キャベツ農家の方の自殺を
私は決して忘れることができません。
できる限り知識を仕入れながら、必要以上に神経質にならず
間接的な支援を続けていきたいと思っています。
産地云々と騒ぐ以前に
いまだ子供たちの給食がこんな現状のところすらあります。
子供たちが放射線によって受ける影響は、大人よりずっと大きい。
子供に関しては私もいろいろな心配がわき上がります。
だからこそ、大人の暴言を聞くとやり切れなくなります。
最近では「飲んで食べて復興支援!」とも言えない空気。
そして「いつか、きっと復興してほしい」などと書こうものなら
「そんな汚染された土地に、誰が行くもんか」なんて
わざわざメッセージを飛ばしてくる人もいます。
人間不信、被害妄想、自己嫌悪。
そんな日々です。
でも、現地で頑張ってる人たちが大勢いる。
その力強い姿を目の当たりにしてきました。
何と言われても、私は故郷を、東北を応援し続けますし
きっと復興できると信じています。
次第に孤独な戦いになりつつありますが
応援してくれる方々もいることを決して忘れずに。
「アクアマリンふくしま」はまだ、周辺立ち入り禁止でしたが
7月15日再開を目指しているそうです。
先日は、活魚車というものを初めて知りました。
連日、頑張ってらっしゃるスタッフの方々に頭が下がります。
地元民の心のよりどころとも言えるスポット。
再開が本当に楽しみです。
| 固定リンク
「東日本大震災」カテゴリの記事
- 新年を迎えて(2013.01.08)
- 震災から一年(2012.03.12)
- 3月11日に走りませんか-Run Together(2012.03.09)
- 楽しい美味しい! - 復興支援酒場 in 新橋(2012.03.08)
- 震災から9ヶ月(2011.12.11)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
飲んで食べて復興支援するよん*^^*♫…日本酒はダメなんでした。ゴメンなさい。私は東京生まれの東京育ち(実家は横浜…)ですが、福島大好きだからねんっ!!
投稿: じゅっこ | 2011/06/02 23:48
>じゅっこさん
本当にいつもいつも、ありがとうございます。
そしてまた、じゅっこさんの
お料理上手っぷりと言ったら…。
これから先どうなるかは分かりませんが
私も今は、一歩一歩前を向いて歩いていきたいです^^
投稿: うっちー | 2011/06/03 09:40
いつもツイッターでお世話になっております。
現地に足を運び、改めて故郷が受けた、いつ癒えるか分からぬ傷跡に呆然とする一方で、「全然眠れねぇ・・」といいながらも一刻も早い復旧に向けて活動する人々、自らも被災していながら地域全体の復興の為に作業する人々を見ていると、まだまだ不安定な状況の中にも光が見える、そんな気がしました。
再び現地の空気から切り離された場所に戻り、ネット世界の情報だけでいわきの状況をフォローしていると、現実と情報の間に流れる空気の違いを感じ、暫く戸惑っていましたが、ネットの意見は1つの視点であって、全ての状況を示してしているわけでない・・最近、ようやくそう考える事ができるようになってきました。
>>できる限り知識を仕入れながら、必要以上に神経質にならず間接的な支援を続けていきたいと思っています。
流れてくる情報に心を乱されないよう、冷静に判断できるようになる事、それが大事ですよね。
外から不安を煽るような事は避けたいと思います。
ところで、給食に関して私もその量と内容について心配しておりましたが、小学生のお子さんを持ついわき在住の友人によると、一部の給食調理場が復旧した為、隔週でパンと動物性たんぱく質の加工品を中心とした簡易給食と完全給食(麺類、ご飯が交互)に切り替わったそうです。まだまだ完璧とは言えませんが、一歩一歩進みつつはありますね。
投稿: みーちょ | 2011/06/03 17:10
>みーちょさん
こちらこそ、いつもお世話になりっぱなしです。
給食のこともみーちょさんのRTで知りました。
状況は少しずつ改善しているのですね。
子供たちには早く、お腹いっぱい食べてほしいです。
現地は、本当に皆さんエネルギッシュで
賑わっているお店も思ったより多く
復興へのパワーを感じました。
みーちょさんは海外ですからなおさらでしょうけど、
関東にいても温度差はとても感じます。
それは仕方のないことだと思っています。
買わない人がいるのも、
日本脱出したい人がいるのも自由です。
ただ、心ない攻撃にはため息ばかりです。
ネットの世界は特殊。流れる空気も。
それはよく分かっているつもりなのですが、
顔が見えないからこそ本音が出ている部分もあって
暗澹とした気持ちになってしまうのかな。
最近では意識して距離を置くようにしています。
「心を乱されず、冷静に」
こうありたいと思うものの、なかなか難しく…
震災直後に比べたらだいぶマシにはなりましたが(^-^;)
もちろん、身近には
応援すると言ってくださる方もたくさんいます。
まだまだ先は長いですし、
プラスのエネルギーを取り込んでいきたいものですね。
投稿: うっちー | 2011/06/03 17:49
TLではどうもです!!
TL上のお話で気になり、こちらに参りました。
わざわざ陰湿なメッセージを送りつけてくる人が
いるんですか…!!!
信じられない…。 本当に信じられない!!
匿名でそういうことをするのは本当に卑怯ですよね。
そういう人たちは人の心を持ってない、
ただの鬼なんでしょう…。
でも、そんなアホばかりじゃないですから…
応援している人が大多数ですから…
銀行がパンクするほど、みんな寄付もしてますから…
どうぞ、そういう心ない攻撃を受けた時は、
一緒に怒ってる私たちの顔を思い浮かべてください。
みんなみんな、うっちーさんの味方ですから…!!
投稿: horigami | 2011/06/05 11:44
>horigamiさん
いつもありがとうございます(T_T)
応援してくださる方がたくさんいるのも
よく分かっているんですよね…。
だからマイナスエネルギーに引きずられてしまうのは
悔しいとも思うし、スルーできれば良いのですが。
でも私に対するものだけでなく、ネットのあちこちで
こういった類の声を見かけるにつけ
ちょっと黙っていられませんでした。
今は東北に限らずみんな不安な時期で
ピリピリしてしまうのも頭では分かるのですが。
でも、もう少し言い方を考えてほしいなぁと…。
できるだけ、冷静でいなければと抑えているのですが
horigamiさんが代わりに怒ってくださって
何だかちょっとスッキリしました(笑)
ありがとうございます!
投稿: うっちー | 2011/06/05 12:39
うっちーさん、おかえりなさい。
故郷の現状を見て、色々なことを感じたことと
思います。私も被害のひどい被災地に行くたびに
さまざな思いが胸をよぎります。
ツイッター上では確かに感情的な書き込みが
ありますね。不安を煽るような書き込みは本当に
不愉快です。でも、それは止められないので、
ひどい時はネットから離れましょう。ネットは
特殊な世界、現実には、福島を東北を応援して
いる人は沢山いますよ。
うっちーさんも書いている通り、現地の
人は本当に頑張っていますね。私が行ったのは
福島じゃないけど、子供たちは普通なら考えられ
ない環境の中で元気に遊んでいた。この子達の
未来は私たち大人がこれからすることにかかって
いると心から思いましたよ。
うちは東北でも被害が小さい地域でしたが、
津波で家族や親せきを失った友人、知人が何人
もいます。だから、今、生きていることが本当
にありがたい。そして生かされた者の責任も
感じています。まずは子供たちにお腹いっぱい
ご飯を食べさせてあげたいですね。
関東に住むうっちーさんは私より、震災や
被災者に対する人々の温度差を感じることが
多いことと思います。落ち込んだら、時には
誰かに聞いてもらって、気持ちを立て直して
前に進みましょう。私もそうしてる。うっちー
さんはひとりじゃないよ!
必要な情報を入手しながら、支援、行動を続けて
いきたいです。被災地の実態を伝えることも
大切ですね。今回のウッチーさんのブログで
そう思いました。復興は長期戦、腹を据えていき
ましょう。
投稿: Miho | 2011/06/08 11:51
>Mihoさん
みほさん、ありがとうございます。
そちらもまだまだ大変かと思います。
そんな中、私のことまで気にかけてくださって感謝です。
そうですね、最近はネットとは距離を置いてます。
それでも、たまに覗くと
グサグサ来るコメントが少なくないですね…。
私宛のものだけに限らず。
世論って、ほんと簡単に変化するんだなぁと
恐ろしく感じています。
関東は今、放射能で大騒ぎですから
震災のことなどどこかに飛んでしまった感すらあります。
不安な気持ちは分かるので、
福島で暮らしてる人たちはどうなるの…などと
思ってしまう自分も嫌になります。
でも、現地の人たちは本当に頑張ってると感じました。
亡くなった大勢の人たちの命を背負いながら、
懸命に生きていると。
そんな時に自分が落ち込んでる場合じゃないですね。
私も適度に周りに話を聞いてもらいながら
立て直しつついきたいと思います。
みほさん、ありがとう。
また楽しくモーニングor飲み会でもできる日を
心待ちにしています。
長期戦、私も距離はありながらも
ずっとずっと東北を応援していますから
みほさんもお元気でいてくださいね。
何か力になれることがあったら
いつでも声をかけてください。
投稿: うっちー | 2011/06/09 02:42