湊かなえ「告白」、読みました
湊かなえさんの「告白」を読みました。
何とも救いの無い、重い話。しかしリアル。
あるサイトをのぞいてみたら
生徒に復讐する教師を否定する声が多く驚きました。
そして「ゆがんだ家庭で育ち、
親に人生を狂わされた少年A・B」は可哀想という声。
子持ちの女性が多かったようですけど。
なんというか…
小説の意図がまったく伝わっていないような印象を受けました。
あくまでも私の主観で、です。
読む側の受け取り方は、こうも様々なのだなぁと。
少年犯罪がやたら多い昨今、
「心の闇」だの何だのチンケな言葉で犯罪者を美化するから
馬鹿なことをする輩が後を絶たない。
少年法などというものがあって、罰せられないことを知っているから
調子に乗ってガキらがバカなことをする。
法律で罰せられないからといって、調子に乗るなよ?
法律だけじゃ裁ききれないものが、人間にはあるんだよ。
私はこの小説からそういうメッセージを感じましたし
それは、子供たちに対するメッセージなのではないかな。
それなのに映画はR15指定ということに大きな違和感を感じました。
肝心の少年たちには見せられないのね。
誰に何を伝えたいの?
暇があれば観にいこうかなとは思っているけど。
私は法学部でしたが
死刑制度についての論議では反対派でした。
犯罪者だからといって、赤の他人が命を奪う権利はない。
何より、人が人を裁けば冤罪のおそれがある。
そして、死ぬことは一番楽に逃げられる道だと思うし
もっと苦しんだり悔やんだりするべきだと。
ただし、唯一の例外。
それは身内だと思っていました。
自分の家族が殺されたら、きっと私は相手を殺したくなる。
そして、それを誰が責められる?
これはもう、法律云々の話ではないです。
「生徒より自分の子供のほうが可愛いのは当たり前」
第一章"聖職者"に出てくる台詞は説得力があります。
子供を殺された教師が復讐するのは、至極当然のことでは?
完全に共感しましたけどね。
教師だってただの人間、
そんなこと、私は中学生の頃から気づいていましたよ。
説得力がなかったのは、教師の子供を殺してしまうシーンかな。
その他は概ね、リアリティを感じました。
クラスの中のいじめも、自己満足系の熱血教師も。
多少誇張はあるにしても、かつて自分が見てきた光景だから。
教師によるいじめもあれば完璧だったかも。
しかしこの小説は、もともと独立した短編だった第一章、
「聖職者」だけでも良かったと思う。
第一章の秀逸さはすごい。
どうしても、第一章の鮮やかさに他の章が負けてしまう。
全体の構成手法としては芥川龍之介の「藪の中」ですね。
全員が真実をしゃべってるわけではないと思って読むと面白いです。
今日のニュースでもこんな事件が。
これで罰せられないなんて、おかしいでしょう。
<いじめ>中1女子生徒を裸にして撮影 岐阜県の公立中
6月29日2時31分配信 毎日新聞
「岐阜県内の公立中学校1年の女子生徒(12)が、2年の女子生徒ら5人に呼び出され、椅子に縛り付けられて衣服を脱がされ、その様子を撮影した動画が少なくとも十数人の生徒にメール送信されていたことが分かった」
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