映画「オーストラリア」
2009/03/04 19:14
「オーストラリア」を観てきました。
うーん…あまり期待しないで行ったのですが
予想以上に期待はずれでした。
最近、当たりの映画ばかりだっただけに
落差が際立ってしまったのかも。
何よりもまず、一番に出てくる感想が「長い!」。
もう、「いつまで続くの~」って感じでした。
これは致命的。
時間的には、「ベンジャミン・バトン」だって
同じくらい長かったはずなんですけどね。
辛うじて、ノッて観てられるのは牛追いの場面あたりまでかなぁ。
それでも、ちょっと苦痛な面もありました。
危機一髪の場面を「魔力」のようなもので切り抜けるのは
どうかと思うんですけど…
監督は、バズ・ラーマン。
個人的にイマイチだった「ムーラン・ルージュ」の監督です。
その監督が、「土地の持つ魔力のようなものを伝えたかった」と
語っていたのは知っていました。
でも、なんだか魔力の意味を取り違えているような。
オーストラリアの大地は美しいです。
その映像が一番楽しめたかな。
でも、あくまでも映像だけ。
土地に対しても、原住民アボリジニに対しても、
表面的すぎて掘り下げが足りなさすぎに感じました。
戦争の扱いに関しても、人物に関しても。
物語のために、すべてが都合良く動かされている感じ。
ニコール・キッドマン演じる貴族の婦人は
イングランドからやって来て、
ほとんど葛藤もなくオーストラリアの地で暮らし始めますが
そんなもんでしょうか?
アボリジニにしても、マンガに登場する魔法使いみたいな扱い。
彼らも人間ですよね。
魔法使いじゃないはず。
そしてアボリジニの彼らは歌を大切にしていますが
キーワードになる歌が「Over the Rainbow」だなんて!
いや、大好きな歌なんですけど
なんていうか…違う気がするんですよねぇ。
あえて「原住民アボリジニ」を取り上げるならば。
たぶん、私は相当ひねくれた見方をしているのだと思います。
周りでは、鼻をすする音も聞こえましたし。
(花粉症かもしれませんけど)
でも、まったく涙なんて出なかったし、
正直どこにも感情移入できなかったような気がします。
強いて言うなら、ジュディ・ガーランドが銀幕に映り
「Over the Rainbow」を歌うシーンでは懐かしくてうるっと…
いや~、でも思い出してみると
なんだか「オズの魔法使」との絡みも中途半端。
導入部のコメディチックなノリ、
中盤の壮大な牛追いシーンのあたりのノリ、
そして後半の戦争シーン。
どれもこれもが浮いてる感じです。
詰め込みすぎなんでしょうね。
私、やっぱりこの監督苦手なのかも。
やたらスローモーション使うのも苦手だし、
せっかくの美しい風景も、なんだか夜空がCGぽかったり。
むしょうに、「ダンス・ウィズ・ウルブス」が観たくなりました。
こちらは、原住民といってもネイティヴ・アメリカンですが。
3時間をあっと言う間に感じる名作でした。
原住民との関わりを描くなら、これくらいの深さが欲しい。
「オーストラリア」の中のアボリジニは、
単なるキャラの域を脱していないと思います。
久々にがっくりくる作品でした。
宣伝には相当お金かけてますけどね。
でも、ヒュー・ジャックマンはかっこ良かったなぁ。
悪役がどっかで見たような…と思ってたら
デヴィッド・ウェンハムでした!
「ロード・オブ・ザ・リング」のファラミア役です。
ヒュー・ジャックマン主演の「ヴァン・ヘルシング」でも
面白い役で出てましたよ~。
字幕は、戸田奈津子さんでした。
これは翻訳者とは関係ないですけど
最近の字幕は、出す場所を工夫してますね。
白っぽい画面では左に寄せたり右に寄せたり。
実際に仕事していると、なぜ寄せたのか分かるんですけど
一般の人には謎なようで…
「なんか、字幕が右にいったり左にいったり、縦になったり
めちゃくちゃで落ち着かない!」
という友人もいました。
なかなか難しいものですね…
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コメント
う~
確かに
言われてみれば、まいった! です
うっちーさんに脱帽しました
ぜんぜん期待せずに見たのですけど
私は物語として楽しみました
歴史ものとしては頼りないように思いました
いざという時には魔力が助けてくれるので
おとぎ話として楽しもうと思いました
カウボーイがこんなに紳士で格好良過ぎるのも
現実ではあり得ない事でしょうし
不屈の美女のニコール・キッドマンは
夫も国もすぐ忘れますし
それでも、まだ見たことのない
オーストラリアの美しさに感動して
行って見たいと思いました
世界でも日本でも滅びていく原住民のことを
考える機会にもなりました
映画館に行きますと
運がよければ素晴らしい作品に出会いますし
イマイチの作品にも出会いますけど
映画って、いいものだな~と思う事が多いです
今朝は、ちょっとパンチを喰らった気がしました
ありがたい刺激です
ノック・アウトされないように
私も、もっと考えますね
また、うっちーさんの本気の感想を
聞かせてくださいね
投稿: あけみ | 2009/03/06 06:30
>あけみさん
自分でもびっくりするような辛口の感想になってしまいました…
でも、よくよく考えてみると「期待せずに観た」と言いながら、
ある面で期待があったのかもしれません。
オーストラリア出身のスタッフということで、
何かもっと深いものを教えてくれるのでは…という期待が。
特に、原住民アボリジニに関して。
原住民って、何か別の生き物のように
捉えられてる面があるように思うんです。
その彼らを、ちゃんと人間として掘りさげて欲しいという期待が
心の中にあったように思います。
オーストラリアに行ったとき、日本人のギャルたちが
砂浜で体中に砂をまぶしながら
「見て見て~、アボリジニ~~~」
と騒いでいるのを見て嫌悪感をおぼえました。
「アボリジニ見学ツアー」といって、
現在も昔のままの生活を続ける数少ないアボリジニたちを
実際に見られる、というものもありました。
なんだか見世物のようで抵抗を感じ、
結局それには参加しませんでしたが。
このあたりの経験が、辛口の原因かもしれません。
私もおとぎ話は好きなので、
もっと素直に見られたはずなんですけど…
ちょっと、心がアボリジニにこだわりすぎていた気がします。
それでもやっぱり、映画っていいものですよね。
こうして、いろいろ考えさせてくれるんですから。
投稿: うっちー | 2009/03/06 11:51
うっちーさんは、映画によせる思いが真摯ですから妥協できないことがおありでしょう
辛口の感想も私は真っ直ぐ受取れます
でも気楽な私は
>>>ヒュー・ジャックマン主演の「ヴァン・ヘルシング」でも面白い役で出てましたよ~。
こんな情報も嬉しいです
ヒュー・ジャックマンのファンになってしまったので、今度は気をつけて見ますね
今日は『風と共にさりぬ』とか『戦争と平和』を見直したい気分なっています
原作がしっかりしている映画は繰り返し見れます
投稿: あけみ | 2009/03/07 08:59
どうもはじめまして!Yoshinoさんのブログ
からやってきました。私も映画が好きです。
「オーストラリア」は見に行こうかいまだ
迷っているのですけども、どうも私の知る限り
ではかんばしい噂を聞きませんで・・
同じく「ムーラン・ルージュ」がそんなに
好きではなかったんですよね~。
下の「チェンジリング」は先週見てきて
実際の事件のことも知りたいと思いつつ
調べてはいませんでした。こちらのブログで
当時の記事なども見ることができて
ありがたかったです。
投稿: のら | 2009/03/09 01:37
またまた、お返事遅くなりすみません!
確定申告を無事に乗り切りました~。
>あけみさん
私も、どちらかというと
「あの人がこんな役で!」という情報に
気がいってしまいます(笑)
何て言うか、俳優にどんどん思い入れが出て来ちゃいますよね~、ずっと観てると。
「風と共に去りぬ」「戦争と平和」いいですね!
でも、「戦争と平和」は小学生の頃に見せられて
「なんだか難しいなぁ」と思った記憶が(^^ゞ
今、見直すべきかなと思いつつ、はや数年。
「風と共に去りぬ」は小学生でもグッとくるものがあり、
その後何回も観ているんですが。
>のらさん
コメントありがとうございます!
初めましての方のご訪問、とても嬉しいです。
「オーストラリア」、なんだか先入観を持たせてしまって
すみません…
でも…うーん…なんだか…って感じでした(笑)
人それぞれ感想は違うと思うので、
もし観に行かれたら、感想楽しみにしています♪
「チェンジリング」の記事も読んでいただいて
ありがとうございました。
実話と聞くと、調べずにはいられない性分です。
しかし、「事実は小説よりも奇なり」とは
よく言ったものですね…
また、のらさんのブログにもお邪魔させていただきますね。
投稿: うっちー | 2009/03/19 00:27