映画の日ということで、「チェンジリング」を観てきました。
「チェンジリング」公式サイト
changeling(チェンジリング):
【意味】
取り替えっ子;
ひそかにまたはうっかりして取り替えられて残された子.
(ランダムハウスより)
その名の通り、我が子を取り替えられてしまった女性のお話。
ある日、息子が行方不明になった。
半年後、「見つかりました!」と言って連れてこられたのは
別人だったという…
実話を基にしています。
アンジェリーナ・ジョリーが苦手なので少し迷いましたが
クリント・イーストウッド監督ということで非常に観たくなりました。
しかし、「ミスティック・リバー」が後味悪すぎて苦手だったので
一抹の不安もあり…
でも結論から言えば、観て本当に良かったです。
「ミスティック・リバー」とは後味がだいぶ違います。
アンジェリーナ・ジョリーも、新たな一面を見せてくれました。
まさに「事実は小説よりも奇なり」です。
こんなことが、まさか本当にあったとは。
頻繁に聞こえてくる「LAPD」という略語は
Los Angeles Police Department(ロサンゼルス警察)の意。
腐りきった、という表現ではとても足りないくらいの腐敗ぶり。
ネタバレは控えますが、
ある意味、連続殺人犯などよりも怖ろしい存在に感じました。
予備知識は予告以外なしで観に行ったのですが
やっぱり正解でした。
こんな事件が絡んでくるとは知らなかったので
最後まで、息をのみながら鑑賞。
映像もとても美しく、時代の雰囲気が出ていて
あっという間の2時間半でした。
ちなみに音楽担当もイーストウッドです。
*****以下、ネタバレあり*****
連続殺人犯が少年達に性的虐待をしていたという事実が
映画の中では描かれていませんでした。
観た後で調べて知ったのですが、これにすごく救われました。
映画のテーマとしては必要なかったと思いますし
たとえ事実とはいえ、そこまで描かれていたら
なんともやりきれない気分になっていたと思います。
(まあ、想像はつくんですけれども)
想像に任せる範囲に留めてくれて、本当に救われました。
そうでなくても、つらすぎる事件ですから…
下記に、現実の事件の詳しいいきさつがあります。
(完全ネタバレです)
なぜ遺体が全て白骨化していたのかも分かります。
↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%88%E4%BA%8B%E4%BB%B6
http://www5b.biglobe.ne.jp/~madison/murder/text2/northcott.html
当時、偽の息子を引き渡された時の
クリスティン・コリンズの写真。
(クリックすると大きくなります)
↓

この裏での警察の動きを想像すると、怖ろしいです。
しかし、やるせないですね。
結果的に、この事件をきっかけに警察の腐敗が暴かれ
クリスティンは社会を大きく変えることになった。
救われた人も大勢いた。
それはすごいことだけれど、そもそも彼女が望んでいたことは
そんなことではなかったのに。
「My son!」という叫びが今も耳に残ります。
一番号泣してしまったのは、
数年後に見つかった少年の言葉でした。
「なぜ今まで名乗りでなかった?」
「怖かったから」
「じゃあなぜ、今頃名乗り出たんだ?」
この質問に対して答えるシーン。
堰を切ったように溢れ出る感情、
子供らしい素直なセリフに涙が止まりませんでした。
向こうの子役は、本当にいい演技をしますね…
殺人に手を貸すことになってしまった子供の姿も、
見ていて胸がキリキリと痛みました。
こんな経験をして普通の人生を歩むことができるのだろうか?と。
(実際は、家庭を持って長生きされたそうです)
なんだか、本当にいろいろなことを考えさせられる映画でした。
一生、息子を捜しつづけたというコリンズさんの人生を思うと
やるせなくなります。
だからこそ、途中のアカデミー賞のエピソードが救いでした。
「私は“或る夜の出来事”に賭けるわ!」
ああ、映画とか観てはいたんだな。
少しは、自分自身の人生も楽しむことはできたのかな。
このエピソードが事実かフィクションかは分かりませんが、
ほんの少しでもそう感じさせてくれるシーンがあって良かったです。
『或る夜の出来事』、私も昔観ました。
こういう時代を感じさせる小ネタは嬉しいですね。
字幕は、松浦美奈さんでした。
最近では珍しく、手書きっぽかったですね。
懐かしい雰囲気で良かったです。
ベンジャミン・バトンは、手書きっぽく見せた
コンピュータフォントのように感じたんですが…
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