おかしな二人/岡嶋二人盛衰記
仕事が山ほど重なってヒーヒーの日々が、ちょっと一段落しました。
久々にコメディ本編の字幕を翻訳したので楽しかったです。
やっぱり本編の翻訳が一番楽しい
1600枚強を正味4日で作業という、
私にしては強行スケジュールでした。
最近、新しくエージェントを増やし
韓国ドラマの日本語監修のような仕事も始めました。
より自然で適切な日本語のセリフに練り上げる作業です。
これがまた、とっても楽しくて!
韓国語の翻訳者さんが訳した字幕をチェックするのですが
やっぱり人によってクセや特徴があるのが分かって
自分にとっても非常に勉強になります。
訳文を練り上げていくのって、ほんと楽しいんです。
いい表現が浮かんだら「あっ、これだ!」って。
翻訳者さんの表現にうなることもありますし。
現在、シリーズ物の1時間ドラマを週に3本担当中です。
そんな毎日ですが、いろいろと本も読んでいます。
中でも、こちらの本がすごく面白かったです。
わりと厚めなのに、一気に数時間で読んじゃいました。
![]() | おかしな二人―岡嶋二人盛衰記 (講談社文庫) 井上 夢人 講談社 1996-12 by G-Tools |
岡嶋二人さん。
二人で共作していた乱歩賞作家ですが、
もともと推理小説にあまり縁がなかった私は、
まだ1作も読んだことがありません。
でもまず「共作作家」というものに、とても興味がありまして。
共作作家ではエラリー・クイーンも有名ですが、
創作の秘密については終生明かさなかったんですよね。
作家なんて自我のかたまりのようなイメージがあるので、
2人で・・・ってどうしても想像できなくて。
もう一つは、東野圭吾さんの作品を読むことで
「推理小説」の書き方に興味を持ったこと。
自分には絶対書けないな~って思える、多様な発想。
東野さんの自伝エッセイには、
さすがにそこまで秘訣はさらされていませんでした。
「おかしな二人/岡嶋二人盛衰記」には、
何から何まで、すべて手の内がさらされています。
(当然、ネタバレ満載なのでご注意ください)
作品を読んでからの方が、より楽しめるだろうとは思ったものの、
読みたいと思ったら我慢がききませんでした(^^ゞ
へえ~~、こんな風に思いつくのかぁ、と
興味津々で読みました。
二人とも文学少年じゃないところがまた面白い。
でも、やっぱり焦点は二人の関係です。
「盛」の部は、乱歩賞を授賞するまで。
「衰」の部は、プロ作家になってから、コンビを解消するまで。
二人の頂点は乱歩賞だったということ。
切ないです。
まるで一編の恋愛小説を読んだような読後感でした。
無邪気に乱歩賞を目指していた二人が、
だんだんすれ違っていくその姿は、
作家という枠を超えて、普遍的なものを感じます。
多くの人が、こんな経験を一度はしているのではないかと。
相手が友達だったり恋人だったり、いろいろでしょうけど。
コンビの片割れ、井上夢人さんの視点のみから書かれているので、
余計にリアルです。
相手の気持ちが見えない、分からない・・・
訣別のシーンでは涙が止まりませんでした。
長くなってしまいましたが、オススメです。
ネタバレだらけなので、
後で作品を読む気になれるかな~と不安だったのですが
早速、1冊注文してしまいました。
![]() | あした天気にしておくれ (講談社文庫) 岡嶋 二人 講談社 1986-08 by G-Tools |
「おかしな二人」を読んでいたら、ネタバレ満載にもかかわらず
すごく読みたくなってしまいました。
なんと、この作品は乱歩賞受賞作・・・ではなく、
受賞前年に最終候補まで残りながら、落選した作品なのです。
その落選の理由がまた・・・
そこは「おかしな二人」本編でどうぞ
書かれた背景を知っていると、また面白く読めそうです。
いろんなことに思いを馳せながら。
| 固定リンク
« 活字熱 | トップページ | マンマ・ミーア! »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 【アプリ】 図書館日和(2012.11.16)
- ベストセラー翻訳の裏側(2012.11.05)
- 【仕事関連】 読書メモ(2012.11.02)
- 愛を読むひと(2012.11.01)
- それでも人生にイエスと言う(2012.10.25)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
こんな寒い日には、おコタで読書が最高の贅沢に思えます
今日は「秘密」を半ばまで読みましたよ
どうなるのかな~
早く先を読みたいような、読むのが惜しいような気持ちです
うっちーさんのお勧めには、はずれがありません
また、楽しみがふえた~とワクワクです
お仕事が順調で良いですね
がんばって、楽しんで、良いお仕事をと念じています
投稿: あけみ | 2009/02/18 20:33
>あけみさん
おコタ、いいですね~!
どうも、コタツがあると誘惑に負けてしまうので
置かない主義になってから何年も経ちます。
代わりにホットカーペットを敷いてますが。
実家に帰ると、おコタに入りっぱなしです(笑)
「秘密」、楽しんでいただけてるようで嬉しいです。
楽しんで仕事ができるというのは
本当に幸せ者だなと感じています。
いろいろと大変な面もありますが
何とか、このまま頑張っていきたいものです
投稿: うっちー | 2009/02/19 05:22