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2009年2月の記事

2009/02/28

ベンジャミン・バトン/数奇な人生

2009/02/28 00:50

レイトショーで「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」を観てきました。

「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」公式サイト

淡々とした映画です。
クレジットで、
スコット・フィッツジェラルドの短篇原作があることを知りました。
今まで未訳で、映画化を機に翻訳されたようです。

4042976034ベンジャミン・バトン 数奇な人生 (角川文庫)
永山 篤一
角川グループパブリッシング 2009-01-24

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老人としての肉体を持って生まれ、
次第に若返っていくベンジャミン。
精神だけは、普通の人間として年をとっていく。
設定としてはファンタジーですが、
彼の人生をただただ、淡々と追っていきます。

それでも、なぜか目を離せない。
3時間弱という長尺に一瞬ひるみましたが、あっと言う間でした。

いろいろな人のレビューを見てみると
「フォレスト・ガンプみたいな映画」という感想をよく見かけます。
脚本家が同じらしいですね。
でも、私は全然そうは感じませんでした。
フォレスト・ガンプは、全編ファンタジーだと感じますが
この映画は、設定だけだと思います。
あとはただ、どう生きるか、どう死ぬかという、ごく普通の人生。
だからこそ、感情移入できてしまうのでしょう。
私は、「フォレスト・ガンプ」より好きでした。
初めて、ブラッド・ピットの演技を「いいなぁ」と思いました。

「泣けなかった」という感想も見かけますが
泣き通しだった私は、やはり涙の大安売り人間ですね(笑)
冒頭の、時計のエピソードだけでまず涙が…
ベンジャミンの人生、いやこの映画全体を象徴する時計です。
「時を戻せたら」
誰もが一度は考えることなのではないでしょうか。

今、一番大好きな女優ケイト・ブランシェット。
相も変わらず美しかった。
なぜあんなに魅力的な女性が存在するのか…
いつもいつも見とれてしまいます。
ブラピとのカップル…どこかで見たな…
と思ったら、そう!
「バベル」のコンビでした。

ケイトの子供時代を演じたエル・ファニングも最高に可愛い。
あのダコタ・ファニングの妹さんです。
キュートですね~。

人は皆、いつか死ぬ。
どう生きるか、どう死ぬか、
結局は大差ないのかもしれない…そんなことを思ったり。
でも、水泳のエピソードは最高に良かった。
まだまだ、人生あきらめずにいこう、
いや、ずっとあきらめずにいこう、
そんな勇気をもらえました。

時の流れに抗えず、
流されるままに人生を受け入れていく登場人物たち。
「永遠なんてものはない」
終始、そう主張されながらも
永遠の愛を感じさせるところが何ともよかった。

死ぬときは、朝焼けを見ながらがいいな…
そんなことを思いました。

途中、若大将みたいなブラピの姿に
ちょっと笑ってしまったのはナイショww

字幕は、アンゼたかしさん。
個人的に、劇場で見たのは初めてかも!
「オーシャンズ12」では吹き替えを担当していたそうです。
調べたら、アンゼさんが翻訳していた某ドラマのDVD特典映像に
自分が字幕をつけていたことを知り、ちょっと嬉しくなりました。
下記のムックでインタビューが読めます。

4871496511映像翻訳完全ガイドブック (イカロスMOOK)
イカロス出版 2005-03

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予告もいろいろと気になる映画がありました。
しかし、「オーストラリア」はちょっとくどい(笑)。
あまりやりすぎると逆効果な気も(^_^;)
クリント・イーストウッドの新作が気になりますね。
ハリー・ポッターも、予告が始まりました。
「ワルキューレ」も内容的には気になるんだけど、
トム・クルーズが出ていると
「トム・クルーズ」にしか見えなくなってしまっている私(^^ゞ

しかし、うちの近所のシネコンはいつもガラガラ…
大丈夫かな。
アカデミー賞を受賞した「おくりびと」だけは売り切れ!
1日1回の上映になってたから当然かもしれません(^_^;)
来週から、1日3回上映になるようです。
おそるべしアカデミー賞効果!

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2009/02/24

ミニワープロ・pomera

2009/02/23 19:44

前回の「マンマ・ミーア」のレビューは
pomera(ポメラ)というミニワープロを使って書きました。

キングジム デジタルメモ 【ポメラ(pomera) DM10】 パールホワイト 即納&送料無料

思わず買ってしまった…悩んだのはわずか数日。
文庫本サイズなのに、開くとノートPC並のキーボードが出現します。

映画を見た後、家に帰ると一気に現実に戻ってしまい、
ついついレビューを書きそびれることも多いので
鑑賞後、お茶しながら余韻にひたりつつ書いてみました。
冒頭の日時は、F2ボタンを押すと一発で入るんです。
便利

pomeraでできるのは、テキスト作成のみ。
それを後でPCにつなぎ、テキストをコピーして
リンクやら何やらをちょっと加えてブログにアップするというわけです。

他にも日常の些細なことを、日記のように書き留めたりしています。
何しろ、今のところいじるのが楽しいので
オモチャ感覚で使いたくなってしまいますね

この文章もpomeraで打っています。
今は、ファミレスで仕事中。
気分転換に、ちょっとpomeraを開いてみたのでした。

(この調子で、ちょっとは更新頻度が上がるといいんですが…)

手書きも好きで、万年筆なんかも集めてるんですけど
キーボードの方が早く書けるし
そのままブログにもアップできるところが便利だな~と思います。

キーボードの打ち心地には、まだ慣れが必要そうですが
せっかく買ったので、外出のお供にしたいものです

開くとこんな感じです。

Photo


L

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2009/02/23

マンマ・ミーア!

2009/02/23 00:24

映画「マンマ・ミーア!」公式サイト

やっぱりミュージカルっていいな。
そう思わせてくれる、ハッピーな1本でした。
ABBAのヒット曲にのせて、ストーリーを奏でるミュージカルです。

NYに行ったときブロードウェイにかかっていて、
気になりながら観られなかった舞台。
映画化の情報を知ったとき、
これは絶対に行かなければ!と思っていたのです。
最近、次々にブロードウェイ・ミュージカルが映画化されていて、
ミュージカルファンとしては嬉しい悲鳴。

メリル・ストリープが出ているのも
見逃せないと思った大きな理由でした。
こんなに歌える女優さんだとは知らなかった!
年齢を隠そうとしない潔い演技は見ていて気持ちいいし、
やっぱり魅力的。
もう60歳ですよ…驚愕。
大女優としての名演技は、静かなシーンで堪能できます。

一番のお気に入りは、メリル・ストリープ演じる母親が
娘の花嫁衣装を着付けてあげるシーン。

私は昔から、百万単位のお金をかける結婚式に
興味が持てないタイプでした。
この映画を見て、「ああ、こういうのっていいなぁ」って思えました。
みんなでお皿を並べて準備して、
お母さんに髪を梳いてもらい、ドレスを着る。
すごく素敵なシーンです。

ABBAも意識して聴いたことはなかったんですが
知ってる曲がいっぱいでした。
もう、それだけでテンションもあがります。

ショックだったのは、コリン・ファースの老けっぷりかな(^^;)
ブリジット・ジョーンズから、そんなに経ったっけ…
ピアース・ブロスナンも、やっぱり老けましたねぇ。
それでも、みんな素敵でしたけど。

メリル・ストリープの友人の整形マニアの女性。
どこかで見たと思って必死に考えていたけど
上映中にど~しても思い出せませんでした。
パンフで確認したら「出演作:シカゴ」。

あ~~~!!
あの、新聞記者の女性です。ミス・サンシャイン。
一発で思い出した(^O^)
個性的な顔なんですよね~。
今回も、すごくいい味を出してましたよ。

こんな風に、年をとっても友人たちと思いっきり笑ってしゃべって
踊りまくったりできたら楽しいだろうなぁ。
ラストの展開はちょっと唐突に感じましたが
あまり深く考えず、楽しむために観る映画だと思います。
はじめに曲ありきの作品ですしね。

ちょっと騒々しく、洗練されたダンスという雰囲気ではないですが
明るいギリシャの太陽、青い海、白い石壁が
何とも言えず幸せな気分にしてくれます。

ちょっと落ち込んだときに、オススメです。

クレジットも楽しい!
ちょっとしたオマケがついてるので
席を立つのはしばしお待ちを。
コリン・ファースが笑えました

そういえば、
「この映画、ABBAだけじゃなくて
マドンナも使われてるの?!」
とびっくりしたのは私だけではないはず(^_^;)

「Gimme! Gimme! Gimme!」という曲のイントロが、
マドンナの「Hung up」という曲と全く同じなのです。
帰宅後、速攻で調べました。

これはサンプリングといって、
リスペクトするアーティストの楽曲の一部を引用しているものだそう。
もちろん、許可はとっています。

無知って恥ずかしいですね~。
しかし、このメロディラインが流れる度に
頭の中でマドンナが歌いだして困りました(笑)

帰宅してすぐにiTunesストアでサントラを購入。
既に何度もリピートしています。
好きな曲がいっぱい!
ABBAのベストも買おうかな~と考え中です。

B0019FOC5EMamma Mia! [The Movie Soundtrack]
Perra Moraeus Jan Bengtsson
Decca 2008-07-08

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輸入盤のほうが断然お安いです。
でも、iTunesストアの洋盤だと
「Thank you for the Music」(映画ではクレジットで流れる曲)が
入っているので、そちらが一番オススメ。
俳優陣は、全員自分で歌っています。

B000CBNZOUアバ・ゴールド
アバ
UNIVERSAL INTERNATIONAL(P)(M) 2008-12-29

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ABBAのベスト盤。
聞きくらべるのも面白そうですね。

【追記】
字幕は石田泰子さんでした。
「シリアル」のギャグには、場内大爆笑でした。
うまいっ!!
いつかミュージカルの字幕をやってみたいなぁ

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2009/02/16

おかしな二人/岡嶋二人盛衰記

仕事が山ほど重なってヒーヒーの日々が、ちょっと一段落しました。
久々にコメディ本編の字幕を翻訳したので楽しかったです。
やっぱり本編の翻訳が一番楽しい
1600枚強を正味4日で作業という、
私にしては強行スケジュールでした。

最近、新しくエージェントを増やし
韓国ドラマの日本語監修のような仕事も始めました。
より自然で適切な日本語のセリフに練り上げる作業です。
これがまた、とっても楽しくて!

韓国語の翻訳者さんが訳した字幕をチェックするのですが
やっぱり人によってクセや特徴があるのが分かって
自分にとっても非常に勉強になります。
訳文を練り上げていくのって、ほんと楽しいんです。
いい表現が浮かんだら「あっ、これだ!」って。
翻訳者さんの表現にうなることもありますし。
現在、シリーズ物の1時間ドラマを週に3本担当中です。

そんな毎日ですが、いろいろと本も読んでいます。
中でも、こちらの本がすごく面白かったです。
わりと厚めなのに、一気に数時間で読んじゃいました。

406263399Xおかしな二人―岡嶋二人盛衰記 (講談社文庫)
井上 夢人
講談社 1996-12

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岡嶋二人さん。
二人で共作していた乱歩賞作家ですが、
もともと推理小説にあまり縁がなかった私は、
まだ1作も読んだことがありません。

でもまず「共作作家」というものに、とても興味がありまして。
共作作家ではエラリー・クイーンも有名ですが、
創作の秘密については終生明かさなかったんですよね。
作家なんて自我のかたまりのようなイメージがあるので、
2人で・・・ってどうしても想像できなくて。

もう一つは、東野圭吾さんの作品を読むことで
「推理小説」の書き方に興味を持ったこと。
自分には絶対書けないな~って思える、多様な発想。
東野さんの自伝エッセイには、
さすがにそこまで秘訣はさらされていませんでした。

「おかしな二人/岡嶋二人盛衰記」には、
何から何まで、すべて手の内がさらされています。
(当然、ネタバレ満載なのでご注意ください)
作品を読んでからの方が、より楽しめるだろうとは思ったものの、
読みたいと思ったら我慢がききませんでした(^^ゞ

へえ~~、こんな風に思いつくのかぁ、と
興味津々で読みました。
二人とも文学少年じゃないところがまた面白い。

でも、やっぱり焦点は二人の関係です。

「盛」の部は、乱歩賞を授賞するまで。
「衰」の部は、プロ作家になってから、コンビを解消するまで。

二人の頂点は乱歩賞だったということ。

切ないです。
まるで一編の恋愛小説を読んだような読後感でした。

無邪気に乱歩賞を目指していた二人が、
だんだんすれ違っていくその姿は、
作家という枠を超えて、普遍的なものを感じます。
多くの人が、こんな経験を一度はしているのではないかと。
相手が友達だったり恋人だったり、いろいろでしょうけど。

コンビの片割れ、井上夢人さんの視点のみから書かれているので、
余計にリアルです。
相手の気持ちが見えない、分からない・・・

訣別のシーンでは涙が止まりませんでした。


長くなってしまいましたが、オススメです。

ネタバレだらけなので、
後で作品を読む気になれるかな~と不安だったのですが
早速、1冊注文してしまいました。

4061838091あした天気にしておくれ (講談社文庫)
岡嶋 二人
講談社 1986-08

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「おかしな二人」を読んでいたら、ネタバレ満載にもかかわらず
すごく読みたくなってしまいました。

なんと、この作品は乱歩賞受賞作・・・ではなく、
受賞前年に最終候補まで残りながら、落選した作品なのです。
その落選の理由がまた・・・

そこは「おかしな二人」本編でどうぞ

書かれた背景を知っていると、また面白く読めそうです。
いろんなことに思いを馳せながら。

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2009/02/03

活字熱

気分転換にカフェで仕事をした後、フラッと本屋へ。
久々にいろんな本を買ってしまいました。

8割がた読んだのに、デビュー作は読んでいなかった
東野圭吾の乱歩賞受賞作、「放課後」。

406184251X放課後 (講談社文庫)
東野 圭吾
講談社 1988-07

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昨日読んだ、自伝エッセイの影響が大きいです


芥川賞受賞作の「蹴りたい背中」だけ読んでいたけど
デビュー作を読んでいなかった、
綿矢りさの文藝賞受賞作「インストール」。

4309407587インストール (河出文庫)
綿矢 りさ
河出書房新社 2005-10-05

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ほぼ全ての作品を読んでいますが、
最近ご無沙汰だった山田詠美さんの短篇集「風味絶佳」。

4167558068風味絶佳 (文春文庫)
山田 詠美
文藝春秋 2008-05-09

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昔、一時期結構読んでいた星新一の名作集、
「ボッコちゃん」。
これは引っ越しで捨てたのかな~、
持ってたはずが無かったので、また買っちゃいました。

4101098018ボッコちゃん (新潮文庫)
星 新一
新潮社 1971-05

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「ボッコちゃん」の中に「生活維持省」という短篇があります。
これを久々に読みたかったのです。
「イキガミ」という漫画のパクリ騒動で騒がれていましたね。
詳細は以下。
http://www.hoshishinichi.com/ikigami/index.html

個人的な考えを言えば、ここまでいくとパクリだと思います。
設定だけじゃなく、ディテールも似ていますからね。
しかし、もう騒動は一応収束しているので、
論争するつもりはこれっぽっちもありません。
コメント欄でケンカを売られても買いません。

ただ、一つだけ言いたいのは。
小学館の編集者ともあろうものが、
「『生活維持省』なんて読んだこともない」と
堂々と言うのはいかがなものであろうと。

ショートショートの大家、星新一の、
それも直木賞候補になった作品ですよ。
本当に知らなかったのなら恥じるべきですし
ここまで内容が酷似していたら、
何か他に言うことがあるんじゃないかと思います。

そんなこんなで、敬意をこめて
「ボッコちゃん」を再購入しました。
今までに3回くらい買っている気がしますが。

「生活維持省」、何度読んでも素晴らしいです。

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2009/02/02

たぶん最後の御挨拶/東野圭吾

昨日は、久々に読書しながら朝を迎えてしまいました。
そんなつもりはなかったのに、つい夢中になり…

4163688102たぶん最後の御挨拶
東野 圭吾
文藝春秋 2007-01

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乱歩賞作家・東野圭吾さんの自伝的エッセイ集です。
生まれたときから今までの年譜から始まります。

大手企業に勤めながら、仕事の合い間に書き続け
3度目に乱歩賞を授賞。
そのあたりが、とても興味深かったです。

そして、直木賞落選の日々。

決して暗くならず、軽いタッチで書かれていて
気持ち良く一気に読んでしまいました。
自作に関するコメントが全て読めるのも面白かった。
(彼の作品は、8割がた読んでいます)

やっぱり、評伝や自伝って面白いです。
昔から伝記ものって好きだったんですけど、
自分がくじけそうになった時とか、道に迷った時とか、
いろんな人の生き方を読むことで勇気付けられることが多いです。

今、注文中なのは、星新一氏の伝記本。

410459802X星新一 一〇〇一話をつくった人
最相 葉月
新潮社 2007-03

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教科書に載っていた「繁栄の花」に始まり、
一時期夢中になって読んでいたものでした。
こちらも楽しみです

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