「偉人エーリッヒ博士」 -魔法の弾丸99年の歩み-
また久々の更新になってしまいましたが、
私にとっての大仕事が一段落しました。
6月に岡山で行われるイベントで上映される映画に、
字幕をつけさせていただきました。
掲載許可を頂きましたので、こちらでご紹介しますね。
「秦 佐八郎博士 サルバルサン探索99年記念展
~魔法の弾丸99年の歩み~」
まだ出来上がっていないページもありますが、
岡山大学出身の秦佐八郎博士に関連するイベントです。
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「魔法の弾丸99年の歩み」記念展は、岡山第3高等学校医学部(岡山大学医学部の前身)を卒業された秦佐八郎博士がエールリッヒ博士と共に梅毒の特効薬であるサルバルサンを発見し、世界最初の化学療法の第一歩を標されたことを起点とし、その後も深化を続ける化学療法の歩みを、地元 岡山大学と、サルバルサン発見の後 秦博士が恩師北里柴三郎博士と共に研究活動を行われた北里研究所の最新の取り組みを交えて、一般の方々にわかりやすく解説を行う企画展示会です。
(上記公式ページから引用・太字は当方がつけました)
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秦博士ゆかりの映画として上映されるのが
「偉人エーリッヒ博士」という映画です。
上記引用では「エールリッヒ博士」と表記されています。
1940年の映画ですから、もう70年近く前の映画なんですね。
秦博士も、もちろん登場します。
細菌学という未知の分野について、必死で調べまくる毎日でした。
自分がよく理解しないと、分かりやすくは訳せませんから・・・
imdbのデータによると、
当時アカデミー脚本賞にノミネートされたようです。
それもそのはず、非常に面白い映画でした。
仕事だということを忘れて見入ってしまうくらい。
現在DVD化されていないのが、本当にもったいないと思います。
imdbを参照すると、当時「syphilis(梅毒)」という単語は
口にするだけでも大変なことだったそうです。
性病ということでスキャンダラスなイメージだったのでしょう。
そういう時代に作られたこの映画は、
論議を巻き起こしたようですが、勇気ある映画と言えますね。
ちなみに「魔法の弾丸」の原語は「magic bullet」。
英辞郎で引くと「特効薬」と出て来ます。
ランダムハウスでは「無副作用薬剤」という訳もあります。
イベントのタイトルにもなっているので
字幕はすべて「魔法の弾丸」としました。
魔法の弾丸とは何か?
病気を治療するには、病原菌を殺したい。
↓
しかし、病原菌を殺す物質は、
同時に人間の細胞にも悪影響を及ぼしてしまう。
↓
人間の細胞は健康なまま、
病原菌だけを狙い撃ちにできる薬を作り出そう。
その薬を「魔法の弾丸」と表現しているわけです。
なるほど~という感じですね。
この映画は、そんな薬を追究し続ける科学者たちの物語です。
当時の背景を分かっていないと、
イマイチ理解できないシーンも出て来ます。
「梅毒」という単語に対する人々の反応もそうですが、
エーリッヒ博士がユダヤ系だったことなどもそうです。
舞台はドイツ。
ピンときますよね。
(ヒトラー政権よりは前の時代ですが)
これは翻訳中に色々なサイトを見ていて知ったことですが、
やはり差別を感じることもあったようです。
それについて映画の中では一切触れられていませんが、
死ぬ間際の言葉などに、その思いが感じられます。
ドイツ人の純血主義らしきものは、
映画の中での秦博士への差別からも見てとれます。
きっと、異国で相当な苦労をされたことでしょう。
そして、化学物質を体内に入れるということに
強い抵抗がある時代でもありました。
これも、今では当たり前になっていますから
しみじみと時の流れを感じます。
すべての積み重ねで、そしてたくさんの犠牲の上に、
今の医療があるわけですね。
命懸けで、一生を研究に捧げる科学者たちの姿に、
深い感銘を受ける映画です。
岡山駅の近くにお住いの方は、是非足を運んでみてください。
そしてそれ以外の方も、いつかDVD化されたときに
「聞いたことある映画だな」と思い出して
手に取ってみてくださると嬉しいです。
なんだか熱くなって、長くて散漫な文章になってしまいました。
また思い出すことがあったらUPしたいと思います。
私にとっても、とても思い入れのある仕事となりましたので、
少しでも多くの方がこのイベントに足を運んでくださることを
心より願っています。
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