« シュレッダー買い替え | トップページ | 「魔法の弾丸」イベントご報告 »

2008/04/25

「偉人エーリッヒ博士」 -魔法の弾丸99年の歩み-

また久々の更新になってしまいましたが、
私にとっての大仕事が一段落しました。

6月に岡山で行われるイベントで上映される映画に、
字幕をつけさせていただきました。
掲載許可を頂きましたので、こちらでご紹介しますね。

「秦 佐八郎博士 サルバルサン探索99年記念展
    ~魔法の弾丸99年の歩み~」

Img_hata4

まだ出来上がっていないページもありますが、
岡山大学出身の秦佐八郎博士に関連するイベントです。

----------------------------
「魔法の弾丸99年の歩み」記念展は、岡山第3高等学校医学部(岡山大学医学部の前身)を卒業された秦佐八郎博士エールリッヒ博士と共に梅毒の特効薬であるサルバルサンを発見し、世界最初の化学療法の第一歩を標されたことを起点とし、その後も深化を続ける化学療法の歩みを、地元 岡山大学と、サルバルサン発見の後 秦博士が恩師北里柴三郎博士と共に研究活動を行われた北里研究所の最新の取り組みを交えて、一般の方々にわかりやすく解説を行う企画展示会です。

(上記公式ページから引用・太字は当方がつけました)
----------------------------

秦博士ゆかりの映画として上映されるのが
「偉人エーリッヒ博士」という映画です。
上記引用では「エールリッヒ博士」と表記されています。
1940年の映画ですから、もう70年近く前の映画なんですね。
秦博士も、もちろん登場します。
細菌学という未知の分野について、必死で調べまくる毎日でした。
自分がよく理解しないと、分かりやすくは訳せませんから・・・

imdbのデータによると、
当時アカデミー脚本賞にノミネートされたようです。
それもそのはず、非常に面白い映画でした。
仕事だということを忘れて見入ってしまうくらい。
現在DVD化されていないのが、本当にもったいないと思います。

imdbを参照すると、当時「syphilis(梅毒)」という単語は
口にするだけでも大変なことだったそうです。
性病ということでスキャンダラスなイメージだったのでしょう。
そういう時代に作られたこの映画は、
論議を巻き起こしたようですが、勇気ある映画と言えますね。

ちなみに「魔法の弾丸」の原語は「magic bullet」。
英辞郎で引くと「特効薬」と出て来ます。
ランダムハウスでは「無副作用薬剤」という訳もあります。
イベントのタイトルにもなっているので
字幕はすべて「魔法の弾丸」としました。

魔法の弾丸とは何か?

病気を治療するには、病原菌を殺したい。

しかし、病原菌を殺す物質は、
同時に人間の細胞にも悪影響を及ぼしてしまう。

人間の細胞は健康なまま、
病原菌だけを狙い撃ちにできる薬を作り出そう。

その薬を「魔法の弾丸」と表現しているわけです。
なるほど~という感じですね。
この映画は、そんな薬を追究し続ける科学者たちの物語です。

当時の背景を分かっていないと、
イマイチ理解できないシーンも出て来ます。
「梅毒」という単語に対する人々の反応もそうですが、
エーリッヒ博士がユダヤ系だったことなどもそうです。
舞台はドイツ。
ピンときますよね。
(ヒトラー政権よりは前の時代ですが)

これは翻訳中に色々なサイトを見ていて知ったことですが、
やはり差別を感じることもあったようです。
それについて映画の中では一切触れられていませんが、
死ぬ間際の言葉などに、その思いが感じられます。

ドイツ人の純血主義らしきものは、
映画の中での秦博士への差別からも見てとれます。
きっと、異国で相当な苦労をされたことでしょう。

そして、化学物質を体内に入れるということに
強い抵抗がある時代でもありました。
これも、今では当たり前になっていますから
しみじみと時の流れを感じます。

すべての積み重ねで、そしてたくさんの犠牲の上に、
今の医療があるわけですね。

命懸けで、一生を研究に捧げる科学者たちの姿に、
深い感銘を受ける映画です。
岡山駅の近くにお住いの方は、是非足を運んでみてください。
そしてそれ以外の方も、いつかDVD化されたときに
「聞いたことある映画だな」と思い出して
手に取ってみてくださると嬉しいです。

なんだか熱くなって、長くて散漫な文章になってしまいました。
また思い出すことがあったらUPしたいと思います。

私にとっても、とても思い入れのある仕事となりましたので、
少しでも多くの方がこのイベントに足を運んでくださることを
心より願っています。

|

« シュレッダー買い替え | トップページ | 「魔法の弾丸」イベントご報告 »

映像翻訳」カテゴリの記事

コメント

岡山の駅前のビルのようですね
新幹線に飛び乗って行きたい気持ちに駆られます

良いお仕事で遣り甲斐が有りましたでしょう
素晴らしいです

梅毒と言えば『愛と哀しみの果て』で
メリル・ストリープがカレン・ディネーセンを演じましたが
浮気者の夫のブリクセンから梅毒をうつされて苦しみましたね、昔は大変恐ろしい病気でした

科学者の純粋さや、ご苦労や、報われた喜びが
映画になっているのでしょう
DVDを楽しみに楽しみに待ちます
発売されたら教えてくださいね


投稿: あけみ | 2008/04/25 19:55

>あけみさん
残念ながら、今のところDVD化の予定はないのですが、
もしされることがありましたら、もちろんご連絡します。
とてもやり甲斐のあるお仕事でした。

そしてなんと、イベントのオープニングセレモニーに
来賓としてご招待いただきました。
その際、中学生80名が来館して
映画を鑑賞する予定だそうでして、
私が一言何か話した上で、一緒に映画を鑑賞する…という、
なんだかすごい経験ができそうです。

緊張しますが、自分が字幕をつけた映画を
何十人もの観客と一緒に観ることができるなんて
本当に贅沢な経験ですよね。
誰かしらの人生に影響を与える可能性だって
無きにしもあらずですしね。

こんな冷静なふりをしていても、
実はすごい緊張していますが(^^ゞ
頑張ってきます!

投稿: うっちー | 2008/04/30 10:48

映画祭のお仕事って楽しいですよね!
会場に招いていただけることなんてあるんですね、うらやましい!! スピーチ頑張ってください☆ お疲れ様でした…

投稿: すー | 2008/04/30 17:52

>すーさん
お返事遅くなってしまってすみません。
ありがとうございました。

映画祭などの経験も全然なかったので、
私にとっては本当に新鮮なお仕事でした。
スピーチ・・・ってほどではないのですが、
中学生の皆さんに何かを感じてもらえたらいいなぁと思っています。

投稿: うっちー | 2008/05/11 18:27

Dear Uccha-:

I have read your great comment on "Dr. Ehrlich's Magic Bullet". I am also a great fan of this old film. I have a video of this film, and am thinking about the possibility of Japanese "jimaku" for this film. Perhaps we can work together for this plan.

I live in Melbourne, Australia, for more than 25 years, but this coming March I am planning to move to Okinawa to develop my own "magic bullet", PAK-blockers from Okinawa plants with my friend at Ryukyu University. So we might see each other somewhere.

Warmest regards, Hiroshi Maruta

投稿: Hiroshi Maruta | 2014/12/26 06:50

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/33616/40988710

この記事へのトラックバック一覧です: 「偉人エーリッヒ博士」 -魔法の弾丸99年の歩み-:

« シュレッダー買い替え | トップページ | 「魔法の弾丸」イベントご報告 »