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2008/03/24

コメンタリーの翻訳

最近、立て続けに映画DVDのコメンタリーの翻訳をやっています。
コメンタリーの翻訳って、本当に大変ですね~。

大多数の人は本編しか見ないと思うので、
コメンタリーって何?という方も多いのではないでしょうか。
特典映像とは、また別のものです。

特典映像は、主に撮影の裏側を見せますよね。
このシーンは実はワイヤーを使って・・・という風に。
裏側の映像を見せつつ、スタッフや監督が解説します。

コメンタリーとは、本編の映像にかぶせるコメントです。
つまり、本編を見ながら
監督やスタッフがおしゃべりしてるんです。
「このシーンは大変だったよ~」とか
「ここのカメラスピードは○○で・・・」とか
「彼は有名になったよね」などなど。

とりとめのない話だったり、内輪ネタだったり、
とにかく訳しにくいな~と感じます。
おまけにスクリプトに間違いが多いと、
調べ物にも時間がかかり・・・
固有名詞に間違いが多いと、本当に苦労します(^-^;)

納品後は、演出の方に分かりにくいところを指摘していただき、
代案を検討しながら仕上げていきます。
これがまた、とても勉強になりますし
自分の字幕を客観的に見ることの難しさを実感します。

苦労しつつも、本日も一本納品完了しました~ホッ。

おしゃべりな監督だと、上映中ほとんどしゃべってるので
本編よりかなり字幕の数が増えます。
今回はアクション系だったこともあり、
本編の字幕は600枚台だったのに、コメンタリーは約1100枚。
さらに本編抜きがあるので
(コメントがない部分には、本編のセリフをそのまま入れる)、
全体としては1300枚を超えました。

クレジットが流れ始めてもず~っとしゃべってるので
泣きそうになりました(笑)。

1970年代~1980年代の映画が、
20周年などの節目を迎え、
特典映像やコメンタリーを加えて再発売されたりしています。
私が最近コメンタリーを手がけた2本の映画も、
小~中学校の頃に夢中で観ていた映画でした。

映画自体も懐かしいですけど、
あの頃の小さな自分を思い出すと
今、この仕事をしていることがとても不思議に思えてきます。

そして、どんな小さい仕事でも
全力で取り組んでいきたいとしみじみ思います。
だって、どこかで映画好きな誰かが
コメンタリーを熱心に観ていてくれるかもしれないんですから。

くじけそうな時は、このセリフを思い出します。

「自分のすることを愛せ。
 子供の時、映写室を愛したように」

(『ニュー・シネマ・パラダイス』より)

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映像翻訳」カテゴリの記事

コメント

こんにちは~。コメンタリーをなさっているんですね!分かります、あの苦労…。最初はゆっくり話そうとしているのですが、そのうちすんごーいマシンガントークになったりしますよね。でもって、複数の人がコメントするやつだったりすると、先を争ってしゃべろうとしたり…。「おいおい、順番に話せよ~」とか「heとかsheじゃなくて、ちゃんと固有名詞を、それもニックネームじゃなくてフルネームで言ってくれ~」とか「正しい文法で話せよ~」とか画面に向かって叫びたくなりますよね…ふぅ。こういった苦労が分かるので、DVDを借りたり買ったりすると特典も必ず見ています。「うわっ この担当の方、相当苦労しただろうな~」と思うこともしばしば…。お互い、がんばりましょうね。

投稿: ありちゅん | 2008/03/25 10:06

コメンタリーとは
聞いたことも見たこともありませんけれど
そんな良いものがあるんですね~
映画を倍も楽しめると思います

うっちーさんが
最近コメンタリーを手がけられた2本の映画で
小~中学校の頃に夢中で観て居られた映画って
それ なんですか?
ぜひ教えてくださいませ

それにしても、ますます進歩していかれて
すばらしいです
うっちーさんは、私の自慢です

投稿: あけみ | 2008/03/26 13:46

>ありちゅんさん
やっぱり大変ですよね~。
そうそう、代名詞が苦労しますね。
「he」とか「she」も、要所要所で名前を入れないと
とっても分かりにくい字幕になってしまう・・・。
本当に難しいです。
でも映画の裏話は自分自身が大好きなので、
苦にならないのが救いです。
励ましのメッセージ、ありがとうございます

>あけみさん
やっぱり、コメンタリー知らないですよね。
レンタルだと入っていないことも多いと思います。
限定版とか特別版とか、
そういう商品の特典になっていることが多いので・・・。

2本のうち1本はまだ発売情報が見つからないので
載せられないのですが、1本はこちらです。
2本組のうち、1作目のオーディオ・コメンタリーと特典映像を担当しました。

http://item.rakuten.co.jp/book/5516221/

当時も結構話題になった記憶があるんですが、
ちょっとB級寄りなので
あけみさんは知らないかもしれないですね(^^ゞ
久々に観て懐かしかったし、今観ても面白かったです。

投稿: うっちー | 2008/03/26 16:36

数人で話しているコメンタリで、話者が変わるたびに名前を入れてください、というクライアントがいまして、泣けました。その分は字数にカウントしなくていいです、とは言われても「ジョージ・ルーカス: 大変だったね」「ハリソン・フォード: 本当に」なんて、読みにくくって仕方ない気がして…。
あと、突然 スタッフの息子の誕生日の話を始める人とかいますよね。リトル・ジョンって誰ーーーっ? みたいな。 (例はモチロン適当です)。

投稿: すー | 2008/03/27 23:15

>すーさん
うひゃー、それは大変ですね・・・。
すごく読みづらそう。
人数が増えると仕方ないんでしょうか。
まだ、そういった字幕を見たことないですけど。

>その分は字数にカウントしなくていいです

思わずツッコミたくなってしまいました。
カウントされたら無理・・・。

内輪ネタが確かに一番困ります(^^ゞ
裏話を聞くだけなら楽しいんですけどね!

投稿: うっちー | 2008/03/28 13:15

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