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2007/05/01

「バベル」-分かたれたものとは?

「かつて神の怒りに触れ、言語を分かたれた人間たち。
我々バベルの末裔は、永遠に分かり合う事ができないのか?」

以前にも触れた、映画「バベル」の宣伝文句。
このフレーズには、いつも惹きつけられました。

モロッコで放たれた、一発の悲劇の銃弾。

まるで蜘蛛の巣状に広がるガラスのひびのように、
この銃弾が、国境を越えて幾つもの人生に影響を与えていきます。

モロッコ、アメリカ、メキシコ、日本と舞台を変えながら、
途方に暮れる人々が次々に映し出される中、
日本のエピソードだけが異彩を放っているように思えました。
(誤解を受けそうな偏った描写には違和感を覚えましたが、
それはちょっと置いておきます)

国と国との政治的問題、国境越え、言語の違いなど、
「国」同士の壁が浮き彫りにされていく中、
日本のエピソードに与えられた役割は「健常者」と「聾唖者」の壁。
言葉を発する者と、発することができない者。
発することが出来ないからと言って、言葉を持たないわけではない。
ただ、表現する手段が違うだけです。

これもつまりは、「言語を分かたれた」ということになるのでしょう。

人間と人間との間に、往々にして立ちはだかる高い壁。
それは結局、国と国との問題なのではなく、
人間同士のかかわり合いの問題なのだと、私は受けとめました。
それを伝えるためには、日本のエピソードは不可欠です。
(テーマとしては、映画「クラッシュ」を彷彿とさせる面がありました)

分かたれたのは言語だけではない。
言語が分かたれることによって、どれだけのことが分かたれるのか。
どれだけの壁が生まれるのか・・・。

「言葉」というものの存在の大きさを思い知らされます。
「言葉」「言語」とは心を伝える手段であり、
心を伝えることができなければ壁は取り払うことができない。

難しく重いテーマで、うまくまとめることができませんが、
感じたままの気持ちを書きとめておこうと思います。

「言葉」とは、何も「日本語」とか「英語」ばかりではありません。
作品中にも「手話」が示されていますし、
私は「映画」も言語だと思っています。

映画は、国境を越えて心を伝える言語です。
セリフがなくとも様々な心を伝えることができることは、
サイレントの名作が示してくれています。
全く知らない国でも、いくつもの映画を観るうちに
少しずつ身近に感じることができます。
それは、その国の人々に少しずつ心が寄り添っていくことと
同じように思えるのです。

翻訳は、その心を伝えるために手助けする仕事です。
ほんの小さな役割かもしれません。
でも、決しておろそかにはできない領域です。

色々な意味で、身の引き締まる映画でした。
ある程度年を重ねた、大人の方にこそオススメしたいです。

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コメント

あーやっぱり良かったんですね!私も明日映画にいこうと
思っていて、バベルがいいなと思ってました。でも豊洲から
でてるクルーザーにも乗りたいし、、、GWやりたいこと
だらけです。。。

投稿: えみ | 2007/05/02 22:41

>えみちゃん
引っ越したばかりなのにコメントがあって
びっくりです(笑)。
「バベル」、連れは「難しい」と言ってました。
でも物語自体は分かりやすかったです。
同じ監督の「21グラム」が肌に合わなかったから、
どうかな~と思っていたんだけど。
こちらの方がはるかに面白かった。

GWやりたいことだらけ、いいじゃないですか!
お互い、楽しく過ごしましょうo(^-^)o
来週楽しみにしています♪

投稿: うっちー | 2007/05/04 14:57

うっちーへ

ウッチーのバベルの評価は、かなり納得です!バベル見る前に読みたかった(笑)
私も、バベルを見ましたが、あまりの壮大なテーマにしばし、体が動きませんでした…。
私が最初に感じたことは「神の目線でみた人間は、なんと悲しいものかな・・」ということです。国も、言葉も、生活環境もまるで違う人間たちなのに、愛する心と悲しみを感じる心は切ないぐらいに皆同じで、何か見えない大きな力に救いを求めている。誰に?神に?まさに「届け、心」だなーと思いました。そして、この心こそが、人間同士が、理解しあえる唯一の手段なのではないかと思います。
海援隊も歌っています。「人は悲しみが多いほうが、人には優しく、出来るのだから~」と。

投稿: みね | 2007/05/12 02:09

>みねりん
昨日は楽しかったですね~!
そして夜更かししてますね(^-^;)
初コメントありがとうございます。
海援隊まで出てくるとは、さすがみねりんです。

>愛する心と悲しみを感じる心は切ないぐらいに皆同じ

本当にそうですよね。
そういうシンプルなことが見えなくなるのは
恐ろしいですね。

日本はいろんな意味で平和すぎて、
こういうことを意識する機会があまりありません。
こうして時々、映画に出会うことで
はっとさせられたりします。
「ブラッド・ダイヤモンド」も辛い映画でした。
辛すぎてレビューが書けません・・・。
機会があったら是非一度、見てみてください。

投稿: うっちー | 2007/05/12 11:12

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