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2007/04/12

字幕翻訳の手順

字幕翻訳の仕事、と言っても
なかなかイメージが湧かないと思います。
人によっていろいろ違いはあると思いますが、
駆け出しの私の仕事の流れを整理してみます。
興味のある方に、少しでも雰囲気が伝われば嬉しいです。

1.スクリプトと映像が届く。

ほとんどの場合、データで受け取ります。
スクリプト(台本)はメールでいただいたものをプリントアウトし、
映像はFTPサーバーからダウンロードします。
DVDの特典映像の場合は、特典映像だけではなくて、
本編の映像ももらえる場合が多いです。
(もちろん、まず本編を一通り見て、内容を把握する必要があります)

2.ハコ切りをする。

スクリプトを片手に映像を見ながら、
どこで字幕を区切るかを決めていく作業です。
区切るところに斜線を入れていきます。
長台詞や、つらつらしゃべるナレーションが続く場合は、
切りづらくて苦労します。
短く切りすぎても長くなりすぎてもいけません。
適度な長さで、リズミカルに。
一番実力が問われるところとも言われています。

3.スポッティングをとる。

私が受けている仕事はSSTというソフトを使用するものばかりです。
びっくりするほど高価なソフトですが、
ほとんどの仕事で必要なので、ついに購入しました。
個人事業主としての設備投資ですね。
ハコを切った字幕を入れる個所を、1/30秒単位で指定していきます。
クライアントの指示に従ってコマ送りで音声を探っていくので、
これまた結構な時間がかかります。
30分の映像でも4~5時間くらいでしょうか?
カット割りなども調整する、かなり細かい作業です。
SSTを使用しない場合は、手作業(ストップウォッチ)で
1つ1つのセリフの秒数を計っていきます。

4.翻訳する。

ここまで下準備をして、やっと翻訳にとりかかれます。
スポッティングをとった部分に、字幕を入れていきます。
基本的に1秒4文字です。
この字数制限にもしばしば泣かされます。
テロップには斜体をかけたり、縦字幕と横字幕を分けたり、
SST上で様々な調整も行います。
内容についての事実関係など、調べた事柄は、
すべて「申し送り」として別ファイルにまとめます。

5.見直しをする。

私の場合、まず字幕を入れ終わった映像を通して見ます。
一視聴者の気持ちになって。
違和感のある部分は、ここで直します。
次に、字幕をすべてテキストファイルに出力し、
プリントアウトして紙上で見直し。
単純に日本語としてじっくり校正することで、
意外なミスが見つかったりします。
最後に字幕を入れた映像を、第三者の目でakkyに見てもらいます。
(これは、akkyに時間があるときですが・・・ありがとうakky)

*************************

大まかな流れとしてはこんな感じです。
劇場映画の大御所翻訳家の場合ですと、
3のスポッティング作業はおそらく本人ではなく、
別で作業されるのではないでしょうか。

「10~15分くらいの映像でも一日かかる」というと
「えーっ、そんなに?!」と驚かれることが多いですが、
なんだかんだで時間がかかるものでして。
日々、スピードアップしたいと努力しています(^-^;)

先日書いた映画本編のお仕事は素材の到着が遅れており、
少し納期に余裕をいただくことができました。
ぽっかり時間ができたので、つらつらと書いてみました。

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コメント

初めてうっちーさんのブログにお邪魔した頃は、「これから映像翻訳の勉強を始める」と書かれていたのに、今ではSSTも購入されて立派な映像翻訳者さんですね。

“いつかは映像翻訳を”と思う私にとって、今回の記事はとても勉強になりました。大変そうですが、やはりやりがいもありそうです。

これからも頑張って下さいね。

投稿: Juliet | 2007/04/12 13:36

>Julietさん
ああ、そうですよねぇ。
Julietさんと初めて言葉を交わしたときは
確かにその頃でしたよね。
「同じスクールかも」という話をしましたもんね。

自分でも、ここまで来れたのが嘘みたいです。
といっても、まだまだ一歩を踏み出したばかりですので
勉強を怠らず、日々精進していきたいと思っています。
また役立ちそうなことがあったら、まとめていきますので
たまに遊びに来てくださいね。

投稿: うっちー | 2007/04/12 21:58

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