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2007年2月の記事

2007/02/28

「ドリームガールズ」再び<ネタバレ>

我慢できずに2回目の観賞。
すっ飛んで行ってきました!

ジェニファー・ハドソン、アカデミー助演女優賞おめでとう!
ビヨンセ・ノウルズはグラミー賞受賞者。
もう1人のドリームガールズ、アニカ・ノニ・ローズ
ひそかにトニー賞受賞者だそうで。
各界の頂点に立った三人を
スクリーンで見られるってわけですねo(^-^)o

改めて見ると、ビヨンセの演技がいいなあと思います。
歌い方も軽く抑えつつ、
「個性がなく深みがない」と言われる歌手役を
徹底的に演じている。
だからこそ、最後の「Listen」が引き立ちます。

かと言って、軽く歌っている歌たちが悪いかというと、
これまた意外なくらいにいいのですね~。
ソウルよりポップな方が日本人好み、というのもあるでしょうけど、
「Dreamgirls」から始まり
「One night only」のディスコ・バージョンにいたるまで、
ビヨンセの歌声はかなり心地よく響きます。
抑えているとは言っても、そこはやはり底力が違う!って感じです。
表情豊かで伸びのある歌声がたまらないです。

そして最後のさよならコンサート。
ここで、カーティスに送る視線が好きです。
そして、そのときの彼の表情も。
憎み合って別れるわけではない、
でも、進む道が違ってしまった2人。
切なさあふれるシーンでした。

この映画は確かに歌ばかりなのですが、
歌ってるときは演技してないかといえば、そんなわけもなく。
見事に歌と演技がお互いを高め合っていると思います。

私の中でそのトップはやはり「Listen」。
この時のビヨンセの表情は、百のセリフにもまさる演技です。
ここだけで演技賞をあげたい!!

「Dreamgirls」を歌いながらデビューを飾るシーンも、
ビヨンセの希望あふれる曇りのない笑顔が、
初々しくて素晴らしい。

そう言う意味では、ジェニファー・ハドソンの演技は
個人的にはあと一歩!という感じでした。
決して悪いと言うわけではなく、
彼女があれだけ注目されるならビヨンセだって・・・
と思ってしまうのです(^-^;)

なんだか損な役回りですね。
でもエディやジェイミーも含め、演技派が脇を固めていて
やっぱり見ごたえのあるドラマ&ショーだなぁと思いました。

さーて、あと何回いこうかな♪

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2007/02/24

「ドリームガールズ」

先週、封切りと同時に見てきました!
ミュージカル大好きな私としては見逃せない作品。

感想は・・・最高!
「シカゴ」以来の感動でした。
「プロデューサーズ」は、映画としての工夫が足りなくて
個人的にはちょっとダレる感じがあったのです。
「オペラ座の怪人」も然り。
舞台っていうのは、
そのまま映像にしても決して面白くはならないのです。

「ドリームガールズ」も元はブロードウェイのミュージカルですが
カットつなぎのテンポの良さなど、「シカゴ」の感覚に近いです。
歌ってるときに、ただ歌ってるだけでは、
映画としては退屈なんですよね。
舞台では生の魅力があるんですが、映画では退屈。

「歌ってる間にも物語が進行して、
 歌の前と後で何か変化が起きていなければならない」
とは、監督の弁。さすが!!

クレジットを見て、納得。
監督・脚本がビル・コンドン
そう、「シカゴ」では脚本を担当していた方です。
何の予備知識もなく観に行ったので、「おお~」と思いました。

ストーリー自体の面白さは、「シカゴ」以上かもしれません。
何といっても、音楽業界のリアルな裏側ですから。
「犯罪者がスターになる」という、ある意味おとぎ話の「シカゴ」より
人間ドラマが見ごたえあるのは、必然でしょう。
ダイアナ・ロスシュープリームスをモデルにした話だそうです。

そしてさらに、歌唱力が「シカゴ」より圧倒的に上なのも
悔しいけど事実です。(←なんで悔しいんだ・笑)
ビヨンセもすごいけれど、
エフィ役のジェニファー・ハドソンがすごい!
てっきり、有名な歌手なのかと思ったら新人とのこと。
冒頭の「MOVE」の歌声では、本当に鳥肌が立ちましたよ。
でも、音楽番組のオーディションでは落ちたのだとか。

どれだけ層が厚いのかと、恐ろしくなりました・・・
日本の歌手が赤ん坊にしか見えません・・・

さらに、中盤はずっと抑えた歌声のビヨンセが、
クライマックスで気持ちを解き放つ「Listen」
ビヨンセ演じるディーナの気持ちが痛いほどに伝わってきて、
演技を超えた歌声に、涙が止まらなかった。
「歌は、気持ちを伝えるためにある」
それを体現しているような場面でした。

昔、映画「ボディガード」にホイットニー・ヒューストンが出たとき、
「歌手は女優なんかやるもんじゃないな~」と思ったものですが、
今回のビヨンセは素晴らしかったです。
パンフを読むと分かるのですが、彼女はとても謙虚。
そして努力家。
スター然としたホイットニーとは、きっと根本的に違うのですね。

ちなみに、昔ホイットニー主演で
「ドリームガールズ」映画化の企画があったそうです。
企画が流れた理由は、ホイットニーが
エフィとディーナ、両方のナンバーを歌いたがったからとか。(笑)
ある意味、すごいけどヽ('ー`)ノ

物語のキーともなる「One night only」は、
どちらのバージョンもとても良くて。
中島みゆきの「孤独の肖像」にあまりにも似ていて、
笑っちゃいました。
曲調もちょっと似てるけど、アレンジと経緯がそっくり。
(現在、初期バージョンは
「孤独の肖像 1st」としてアルバム収録されています)

しっとりとしたバラードが、
ノリのいい売れ線の曲に書きかえられる。
これも音楽業界ではよくあることなのでしょうね。

エディ・マーフィーもよかったなぁ。
この役には数人のモデルがいるらしいのですが、
その中にジェームス・ブラウンも入ってるとのこと。
(どうりで、途中で及川光博ライブを思い出したわけだ・・・)

エディの歌の素晴らしさもさることながら、
哀愁漂う表情がとても良かったです。
コメディ一筋の彼ですが、こんな演技もできるんだ・・・と。
アカデミー賞ノミネートも納得です。

映画が終わったあと、サントラコーナーに人が群がっていました。
こんな光景、初めて見たかも・・・
私の目の前でも4~5枚売れてましたし、
私もデラックス・バージョンを買いましたo(^-^)o

こうして書いてみると
まるですべての面で「シカゴ」を超えているようですが、
それでも私の中では「シカゴ」は別格なんですよね~。
なぜだろう・・・
個人的にジャズが好きとかいうことを差し引いても、
作品としての完成度は「シカゴ」が上な気がするんですよね。
まさに「To me, you are perfect!」な心境なのです。
何度観ても飽きません。

「シカゴ」は、赤と黒を基調にした映像の
一つ一つがスタイリッシュで、
それ自体が芸術だったなあと思うんです。
今でも、どのシーンも強烈に目に焼きついています。
「ドリームガールズ」もスタイリッシュではあると思うのですが、
どちらかというと、映像自体は
プロモーションビデオに近いかも・・・と思います。

あと何度か観に行けば、また感想が変わるかもしれません。
「シカゴ」は7回通ったからなぁ。

いずれにせよ、「シカゴ」の成功がきっかけで
続々とブロードウェイミュージカルが映画化されています。
ミュージカル好きとしては、嬉しい限りですo(^-^)o

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2007/02/17

リアルな「マリー・アントワネット」

見終わったあとのakkyと私の反応が、
ここまで分かれたのも久しぶりでした。

どうやらakkyは、
激動の時代を描いた歴史物を期待していた模様。
私は、1人の少女の人生を描いた物語、と思っていました。

予告を見たときから、あ、これは今までとは違うな、と思いました。
監督、ソフィア・コッポラですし。
普通の歴史物を撮られても、つまらない。

世間では、ファッションやスウィーツが注目されています。
確かに色彩も美しく、普通の中世物とは一味違う。
けれど、それだけの映画でもありません。

フランス革命ではなく、
あくまでも「マリー・アントワネット」を描いた映画。
彼女が何を見て、何を感じたか。
そう、全編がマリーの視点を通して語られるわけです。
そういう意味で、「戦場のピアニスト」と全く同じです。
歴史的背景をある程度知らないと、つらいかもしれません。
(「ベルばら」程度の知識で十分です)

確かにあの時代、歴史的には激動の時代だった。
でも、マリーにどこまで見えていたか?
気づいたらいつの間にか国民にそっぽを向かれ、
城を捨てるときにもまだ、
事の重大さを本当には理解できなかったのではないか?

彼女の目には最後まで、
美しいドレスと色鮮やかなお菓子しか映っておらず、
ラストに近づくにつれ食べかけのお菓子がドロドロしていくのが
運命を象徴していているようで良かったです。
最後まで、事態を理解できていないような
ほんわかした雰囲気のマリーがとてもとてもリアルで。

「王妃になってしまったことが悲劇」

それをまざまざと見せつけてくれました。
プチ・トリアノンで子供と戯れるシーンでは、
普通の女性としてのマリーの魅力が全開だったと思います。
「王妃でさえなければ・・・」
彼女がいかに可愛らしく、優しくて魅力的な女性だったか、
全編を通して伝わってきます。

オペラでの拍手のシーンや、
子供が亡くなったことを肖像画で見せるシーンなども、
テンポが良くて上手い見せ方だなぁと思いました。

ラスト、賛否両論ですが、
私はこの映画にはあのラストがふさわしいと思います。
あの続きまでやっていたら、映画のカラーが変わってしまうし。
(正直、見たいと思う気持ちはありますけど)

キルスティン・ダンストが、
初々しく純粋で、世間知らずなマリーを好演しています。
ほとんど出ずっぱり。
彼女の表情で映画を引っ張っていくようなものですから
責任重大ですが、とても良い演技でした。

歴史を超えて女性に支持されるマリー・アントワネット。
その理由がよく分かる映画でした。
でもやっぱり、男性には分からないかもな・・・と思います。
(感想は聞いてみたいけれど)

************************

めずらしく、仲良しのあけみさんと意見が割れました!
でも、ブーイングする人がいるのも良く分かるんです(^-^;)
万人に受け入れられる映画よりは、意見が分かれる映画の方が
面白いですよね!

「マリー・アントワネット」を観ました by あけみさん

ひそかにブログを読ませていただいている、
映像翻訳者としては大先輩のひよさん。
はじめましてのトラックバックですが、
いつも楽しく読ませてもらっています♪
やはりプチ・トリアノンのシーンはいいですよねぇ。

「マリー・アントワネット」 by ひよさん

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2007/02/10

DVD特典映像の字幕翻訳

・・・のお仕事が入りました。
映画好きの私としては嬉しい限り。
日本未公開の映画ではありますが、思い出の作品になりそうです。

実は、もう終了して納品済です。
この連休で、演出後の修正作業にかかります。
もっと早くご報告したかったのですが、
なかなか日記を書く気分になれなかったのでした。

このお仕事を受注したまさにその日、
大切な友人の訃報が届きました。
私より3つも年若い彼女は、ずっと病気と闘っていて、
でもその姿を見られたくないと、会うこともなかったのです。
会うなら退院してからにしたい!という彼女の意志で、
主にmixiやメールを通して交流していました。

私も仕事が忙しく、
彼女からも一週間ほどメールが途絶えて気になっていたとき、
久々に彼女からきたメールはこんな文章で始まっていました。

「お話ししなければいけないことがあります。
 私は○○(彼女の名前)の妹です。
 姉は先週、亡くなりました」

もう頭が真っ白になってしまって、何も考えられませんでした。
その後、遺書として用意されていた長いメールが届きました。
自分のことよりも遺された人たちのことを思いやる、
とても優しいメールでした。

悔やまれることばかりです。
伝えたい言葉だって、もっとたくさんあったはずなのに。
そんな切羽詰まった状況すら知らなかった私は、
ただただ涙が止まらなくて、
彼女の言葉を思い出してばかりいました。

彼女は、紅白歌合戦で有名になる前から、
「千の風になって」という詩を大切にしていました。

「私、この詩をみんなに残していきたいな。
 すごくいい詩。
 遺灰もまいてもらおうと思ってる」

そんなことを言う彼女に、
「何弱気なこと言ってるの!
 もっと前向きになって、絶対治さなくちゃだめだよ!」
なんて、みんなで言っていたものでした。

今思えば、残酷な言葉です。
彼女は、あの頃からもう分かっていたのでしょうか。

だから、外で風が吹くたびに彼女を感じるのです。
通勤ラッシュの中でも涙が抑えられなくなったり。
会社にいると気が紛れるのですが、
家で1人でいると彼女のことばかりが思い出されてしまい、
涙が止まらないのです。

今回は、そんな中でのお仕事でした。
フリーでやっていくということは、
セルフコントロールが本当に大変だと実感しました。
どうにかやり遂げたことで、自信はついたと思います。
ものすごく時間がかかりましたが・・・

納期までの一週間、会社から帰るのは毎日22時ごろ。
それから「眠眠打破」を飲んで、翻訳作業。
午前3時に寝て、朝6時に起床・・・
そんなスケジュールでした。

土日にライブ旅行の予定がありましたが、やむなくキャンセル。
日曜日のライブ当日だけ、日帰りで行ってきました。

プロの仕事において、納期は絶対に守らなければならないもの。
現在、自分自身も翻訳コーディネーターをしている私は、
いろいろな翻訳者を見てきました。
奥様が亡くなった時も、きっちり納期を守ってくださった方もいれば、
「年末年始は来客が多くて」と納期を遅らせる方もいます。
もちろん、後者はプロ失格です。

彼女は、私の夢をいつも応援してくれていました。
初仕事のときにも自分のことのように喜んでくれました。
そんな彼女のせいにして、
中途半端な仕事をするわけにはいきません。

終わった後は、心の中で彼女に報告をしました。
今日も今から修正作業です。
がんばります。

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