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2006/02/06

「何が映画か」

会社帰り、いつものようにiPod miniを片手に歩いていました。
今日は久々にショパンのアルバムを通して聞いていて・・・

ふっと、聞き覚えのある曲が。
いや、もちろんどれも有名な曲なんですが、
そうじゃなくて・・・ある映像がふっと浮かんできたのです。

暗闇の中。
帰らぬ恋人を待つ若きメリル・ストリープ。
悲しみに暮れる彼女を抱きしめようとする、ロバート・デ・ニーロ。

そう、映画「ディア・ハンター」の1シーンです。

へぇ〜、あれショパンだったのか・・・と思いつつ、
聴いてるうちに映像がどんどん流れ始める。
脳内上映会でした。

これぞ、映画ですね。

ちなみに、曲名は「夜想曲第6番ト短調Op.15−3」。
楽譜も探して手に入れちゃいました。→こちら
作者の死後50年以上経っているクラシック音楽は、
今は大抵WEB上で手に入ります。
ありがたい・・・。
演奏を公開している方もいらっしゃったので、聴いてみてください。→こちら
映画の中では、もう少し静かでスローな印象の曲です。
映像が浮かんでくれば、かなりの映画通ですね!!


タイトルの「何が映画か」というのは、
黒澤明監督が終生つぶやいていた言葉です。

マンガや小説、TVドラマやゲームなど、娯楽が多様化する中で、
何も考えず同じ作品が使いまわされているような時代。
そんな中で「映画が映画たる所以」というのを考えている製作者が、
いったいどれだけいるのでしょう。

黒澤監督は、あれだけの存在でありながらも、それを一生考え続けた。
答えなんてないことは分かっていても、きっと考えることに意味がある。
そう思えるのは、黒澤監督の映画こそが
「これが映画だ!」と実感させてくれる存在だからなのです。

私にとって、「映画」とは美しい映像と心に染み入る音楽。
これが8割を占めている気がします。
もちろん、それだけではプロモーションビデオと一緒ですが、
音楽と映像のコラボレーションによって、
物語の中核を伝えることができるはずなのです。

音楽と映像それぞれが何かを語り、お互いに不可欠な存在となっている。
映像を見たら音楽を思い出す。
音楽を聴いたら映像が浮かんでくる。

私が初めて「これこそが『映画』ってやつなんだ!」と思わされたのは、
黒澤監督の「八月の狂詩曲(ラプソディー)」
なんだか教育テレビみたいな説教くさい映画だなーなんて思って観ていたのに、
ラストシーンだけで、頭をガーンと殴られたような衝撃を受けました。

**********************

一面の田んぼ。
激しい風雨の中を、傘をさして走るおばあちゃん。
突然、傘がおちょこになる。
その瞬間に流れる、シューベルトの「野ばら」

**********************

あの1シーンから、100個の台詞を並べても伝えられないであろう想いが
伝わってきました。
背筋がぞっとして、鳥肌が立ちました。
それまで繰り返し使われていた「野ばら」が、こんな風に活かされるとは。
まさに芸術。

そしてもう一つ、これを映画と言わずしてなんと言う。
黒澤監督「生きる」の有名なブランコシーンです。

癌で余命いくばくもない主人公が、
しんしんと雪が降る中、自分が作った公園のブランコに乗って
「いのち短し 恋せよ乙女・・・」と『ゴンドラの唄』を口ずさむシーン。
ここの1シーンだけで、台詞などなくとも、全ての想いが迫ってきます。

印象的な美しい映像に、
意外な音楽を合わせるのが黒澤監督は本当に上手いし、
また無音状態の使い方が上手いので、余計に音楽が引き立つのです。
(昨今のドラマは音楽を流しすぎで、どれも陳腐に聞こえてしまいます)

思い出すだけで涙が出てきて、
今の気持ちは「ああ、また観たい」。

まさかショパンのアルバムを聞くことで、こんな一夜になるとは。

ストーリーがいくら面白くても、音楽が印象に残らないと、
映画としては印象が薄まってしまいます。
去年のお気に入り「キング・コング」も、その辺が惜しい感じでした。
ジョン・ウィリアムスとかダニー・エルフマンあたりがやったら、
もっとヒットしたかもしれませんね。

もちろん、映像の美しさは大前提。
今やっているTVドラマ、香取慎吾の「西遊記」はニュージーランドロケだそうですが、
同じニュージーランドロケの「ロード・オブ・ザ・リング」を思い出してみましょう。
「ロード・・・」が「西遊記」のような映像だったら!!

きっと、全然違う印象の作品になってるでしょうね(^-^;)

最近観た中では「プライドと偏見」の映像が素晴らしく美しかったなぁ。
あ、これレビュー書いてないですね。
とても良かったですよ。
今度書きます(^-^)/

映画は大衆の娯楽であってほしい。
でも、芸術であることも捨てないでほしいと、切に願います。

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コメント

わかる、わかる!映画を観る時間がないときは、サントラを聴いて頭の中でフラッシュバックさせます。でも持っているのは当然、映像と曲の融合が素晴らしかったものに限られます!ああ、素晴らしいものですね…(^.^)

投稿: ミオ | 2006/02/07 13:23

そういうことだったのかぁって感じです。
あたしは映画を観る時何に注目してとかどんな視点でとか考えなかったからなぁ。
観てから「イイ映画だったな・・・」って思うのは、きっとストーリーだけじゃない要素があったんだろうなって思うよ。
映画って・・・深すぎます。

投稿: ちかぞう。 | 2006/02/07 20:18

ひゃー、こんな自己満足日記にコメントが!!
ちょっと恥ずかしい・・・
ありがとうございます。

>ミオ

なんだかショパンを聴きながら帰るときと、
マドンナを聴きながら帰るときとでは
まるで脳みそが別人のようになるんだよね。
今日はマドンナ聴いてたから、張り切ってジムに行っちゃったよ(^-^;)
サントラは本当に偉大な存在だよね。

>ちかぞう

「イイ映画だったな・・・」って思うだけで十分だと思います。
どうも私は頭で考えてしまうんだけど、
純粋に心で楽しむ方が作る方は嬉しいに決まってる!
それに私が書いてるのは、あくまでも私の個人的な考えね。

私は好きなあまり、考えることを楽しんでしまうので・・・
マニアックだね(^-^;)
あなたの旦那には負けるけど(笑)。

投稿: うっちー | 2006/02/07 22:54

ふむふむ。
でも創り手さんもね自分達の、意図とかこだわりとか考えてもらえたらやっぱりそれも嬉しいんだろうな~って思いますわよ。

映画には色んな楽しみ方があるってことかしらね^^
さて、だんな様は確かにマニアック。
最近は『ちかぞう。マニア』ですぅwww
(これ、いつかうっちーが使ってるのみてさぁ。羨ましくて真似っ子してみた。てへ。)

投稿: ちかぞう。 | 2006/02/08 03:08

>ちかぞう

・・・・・

早く春が来ないかなあ。

投稿: うっちー | 2006/02/08 22:13

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