永遠の輝き、その先に。
「エターナル・サンシャイン」を観てきました。
終わってから、何か言おうと口を開くだけで涙が出てきてしまうような映画でした。
大げさな演技の印象が強いジム・キャリーが、シリアスな役をさりげなく演じています。
コスチューム物のイメージが強いケイト・ウィンスレットが、
パンクなねーちゃんに扮しています。
二人ともとてもキュートで、リアルで、魅力的。
多少のネタバレになってしまうと思うので、
ネタバレ嫌な方は以下、読まないで下さい。
出会って、恋をする。
↓
毎日がきらきらと輝きはじめる。
↓
やがて長く一緒にいる間に、お互いの嫌なところが見えてくる。
↓
輝くような恋する思いは色あせてくる。
↓
そして、別れがくる。
この、オーソドックスな恋愛のフローチャート。
そして別れというのはいつでも辛いもの。
失恋の記憶を消し去りたいと思ったことのある人は多いはず。
しかし、本当に消してしまえるとしたら?
彼との、彼女との思い出すべてを、存在自体を記憶から消してしまえるとしたら?
それを本当に、望みますか?
記憶消去を決意したジョエルの悲痛な叫びが胸を打ちます。
記憶をたどりながら消去作業が進む中、
「この記憶は、この記憶だけは消さないでくれ!!」
と必死にあがくジョエル。
それは、『おそらく、人生で一番幸せな瞬間』と感じた二人のデート。
ただ、二人で寝そべって空を見上げているだけのデートなのです。
なんでもないような日常。
その中に「エターナル・サンシャイン(永遠の陽光)」はひそんでいて、
人は失ってみるまで、その輝きには気づけないのかもしれません。
この映画の原題は、
「Eternal Sunshine of the Spotless Mind (一点の汚れもない心の、永遠の輝き)」。
Spotless Mind は、出逢った頃の曇りのない心のことでしょうか。
ただ、お互いを好きで。一緒にいるだけで幸せで。
時は流れすぎても、その瞬間は永遠に残る。
でもそのうちに、この人は靴下を脱ぎっぱなしにするとか、会話が少ないとか、
いろんな不満が出てくる。
ある意味では重要かもしれないけど、ある意味くだらないともいえる不満。
不満があるから別れる?
そうしたら、人は多分、永遠に別れ続けることでしょう。
愛情について、この映画は深く物語ってくれます。
人をまるごと愛するということが、どういうことか。
そして思い出というものが、どれだけ価値あるものか。
冒頭のフローチャートの、さらに先を、
この映画は描こうとしているのです。
不思議に、過去の失った恋愛を思い出すことはありませんでした。
今、隣にいる人を、とても大切に思わせてくれる映画です。
うまく書けないのがもどかしいですが、本当に良い映画。
付き合いの長い恋人たちに、特にオススメしたい1本です。
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