「別れても、バカな人」・内藤みか著
昼休みの日課は、職場の近くの本屋さんでのジャケ買い(笑)。
昼休みですから、いつも軽~く読めそうなエッセイに手がのびます。
この本も、その中の一つ・・・だったはずなのですが。
・・・軽くなかった。
この内藤みかという人は、官能小説家。
女性誌のセックス特集などで、コメントをたまに見かけますけど、
官能小説なんて読まないので、文章は読んだことがありませんでした。
まえがきによれば、自らの離婚顛末記らしい。
それを面白おかしく書いているだけかと思っていました。
できちゃった結婚→愛が冷める→姑のいじめ→夫の暴力→妻の浮気→離婚→・・・
いやはや、まだまだ驚きの展開が続くのですが、
こうして見ているだけでも壮観ではないですか。
読み始め、私はちょっとムカムカしていた。
こういう人、最近多いけれど、私は子供時代のトラウマを売りにする人が嫌い。
そりゃトラウマがあるのは事実かもしれないけど、
誰だって何かしらのトラウマは持ってる。
不幸の言い訳にしちゃいけない。
つまり、大っぴらに「こんなトラウマがあるんです」なんて、
口に出すもんじゃない、って思うのです。
けれど、読んでいるうちに許せてしまった。
とても真摯に、自分の人生と、家族と向き合っていて、
どうにかして改善していこうという必死な思いが見えたから。
この本の中で大きな位置を占めているのが、DV(ドメスティック・バイオレンス)。
つまり、家庭内暴力ってやつですね。
私も、暴力をふるう男と付き合っていたことがあります。
土足で顔面を蹴られて血を吐いたり、首をしめられたりもしました。
こういうのって本当に同じパターンがあるんだなあ、と読んでいると思います。
暴力をふるったあとは泣きながら謝ってきたり、すごく優しくなったり。
「もう二度としない」と言っても、絶対やる。
しかも、エスカレートしていく。
私の場合は別れればすみましたけど、
内藤さんの場合はちょっと違う。
決定的に違うのは、二人は結婚していて、子供がいるということ。
そして、子供がその暴力を見ながら育っているということ。
痣だらけの毎日に耐えかねて、一度は離婚します。
しかし、諸事情のあとでやり直すことに決める二人。
そこから、二人のチャレンジが始まるのです。
それはもう、何をおいても子供のため。
カウンセリングに通ったり、ワークショップに参加したり。
暴力をふるう夫だけではなく、ふるわれる妻も通うのです。
原因はどちらにもあるはず、と。
頭が下がります。
今度こそ幸せな家庭を築きたい、という二人の願いが胸を打ちます。
子供の心に残ってしまった傷痕も、時間をかけて癒すしかありません。
(妻・子供までが暴力的になっていく過程は衝撃です。
とくに保育園で暴力をふるいだしてしまう子供の姿には、胸が痛みます)
その努力は少しずつ実を結んでいきますが、
また最後に意外な結末が待っています。
ハッピーエンドとは言えないのかも知れませんが、読後感は爽やか。
タイトルから想像するよりも、ずっと真面目な本でした。
丁寧な文章で、わかりやすく、臨場感もあってどんどん引き込まれていきます。
そして最初は「なに、このバカ女」と思っていたのが、あっという間に
「がんばれ、みかさん!!」という気持ちになっているから不思議です(^-^;)
いろいろと深く考えさせられる本でした。
育児や離婚、DVで悩んでいる方には必読の書ではないでしょうか。
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コメント
よんでくださってありがとう!
いえいえ、私はただのバカですよ(≧∇≦)!
投稿: みか | 2005/03/03 20:43
>みかさん
うわ~、まさかご本人からレスがくるとは!!
なんだか読み返して、失礼な部分も多いなと反省です。
正直な感想ではあったんですけど(^-^;)
ご訪問ありがとうございます。
本当に読み応えのある本でした。
HPにも遊びに行かせてもらいますね(^-^)/
いやー、ほんとびっくりしました。
感激です。
投稿: うっちー | 2005/03/04 00:52