« 直木賞受賞作「対岸の彼女」 | トップページ | 「オペラ座の怪人」 »

2005/01/30

「Ray/レイ」

音楽の神様、レイ・チャールズ。
名前も聞いたことがないという人は、珍しいのではないでしょうか。
日本では、サザンオールスターズの
「いとしのエリー」の英語版カバーでも知られていますよね。

7歳で視力を失い、黒人差別やヘロイン中毒と闘いながら生き抜いた、
レイの人生を忠実に追った伝記映画です。

2004年に他界したレイですが、本人がずっと企画に協力していたと言います。
企画が立ち上がったのは15年前。
長い年月をかけて、真実を忠実に再現した映画です。

何と言ってもその立役者はジェイミー・フォックス。
彼を選んだのが、かのレイ本人だったというから驚きです。
音源はほとんどレイ本人のものが使われていますが、
ジェイミーのピアノプレイの指の動きが物凄い。
もちろん代役もあったのでしょうが、本人も3歳からピアノをやっていたとのこと。
そのプレイが、レイがジェイミーを選ぶ決め手だったと言います。

演奏がウソっぽかったら、成り立たない映画です。

それにしても、外見や動きまでも本人そっくり。
レイに視力がなかったのが残念でなりません。
物マネの得意なコメディアンとして活躍していたジェイミーならではの、
本領発揮と言えるでしょう。
チャップリンの伝記映画「チャーリー」を観たときの驚きと感動を思い出しました。

さて、肝心のストーリーですが、
子供時代から順を追って進んでいくのではなく、
子供時代のエピソードが少しずつ、現在の合間合間に挿入されていきます。
その構成がとても効果的です。
子供時代の出来事がいかにレイに影響を与え続けたのかが、よくわかります。


シャロン・ウォレン演じる、レイの母親アレサが素晴らしい。
これが映画デビューとは驚きです。
視力を失ってゆく子供に同情せず、強く厳しく育てようと努める、その愛情。

そして葛藤。

「お母さん、助けて。見えないよ。一人じゃ駄目だよ」
転んで泣き叫ぶ子供に、いない振りをするシーンなどでは、
それらがひしひしと伝わってきて、涙を流さずにはいられません。


黒人であるということ。そして、盲人であるということ。
搾取されたりだまされたり、そんなことの繰り返しでレイの人生は進んでいきます。
そして、ヘロインに溺れていくレイ。
愛する妻子がありながら、愛人との間に子供まで作ってしまうレイ。
この辺は、ひどい男です。女から見れば、バカだなあと思うし同情もできない。

しかし、女はえてして才能に惚れてしまうものです。
あの素晴らしいピアノと歌声を聞くと、全てを許せてしまう。
天才というのは、こういう人を言うのでしょう。

それにしてもすごいと思うのは、彼を取り巻く女性たちです。
母親をはじめ、妻、愛人たち。
特に妻は、夫がヘロインをやっていることも、愛人がいることも、
愛人に子供がいることも、全てを知っていてずっと支え続けていた。

できません、普通。

今聴いても全然古びない音楽たちは本当に素晴らしいと思います。
特に「メス・アラウンド」が生まれる瞬間などは、鳥肌ものでした。
サントラ、ほしいです。

スーパー・ベスト~オリジナル・サウンドトラック:レイ
スーパー・ベスト~オリジナル・サウンドトラック:レイ

|

« 直木賞受賞作「対岸の彼女」 | トップページ | 「オペラ座の怪人」 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

音楽」カテゴリの記事

コメント

わぁ~ なつかしい
レイ・チャールズには会ったことがあります
といっても15年ほど前に飛行機でご一緒しただけですけれど
それ以来とても親しみを感じてファンになりました

投稿: あけみ | 2005/01/30 19:19

>あけみさん

うわあ、すごい!!
本物に会ってしまわれたんですね。
それはもう、ファンになってしまいますよね~。

すごく波乱万丈な人生で、観ていて胸が痛みました。
でも、信じるものが一つあるだけで、
人間はこんなにも強く生きることができるんだ、
と気づかせてくれた映画でもありました。

私はそんなにレイ・チャールズに詳しくなかったのですが、
彼の音楽も含めて、もっともっと知りたい。
そんな気持ちでいっぱいです。

一人で来ている男性客が多かったです。
ファンなんだろうなあ、いい光景だなあ、と思いました。

投稿: うっちー | 2005/01/30 22:34

先日はTBいただきましてありがとうございました。
とりあえずTB返しておりました。

母親役のシャロン・ウォーレンはよかったですね。お姉さんのように、すごく若い母親だなあと思いましたが。
ジェイミー、ものまね得意なコメディアンというのは、はじめて知りました。

TBについての記事も拝見しました。私もブログを始めてTBについて考えるところもあるので、そのうち記事を書いてみようかなあと思っています。

投稿: ボー・BJ・ジングルズ | 2005/02/18 07:58

>ボーさん

いらっしゃいませ~。
ご訪問、嬉しいですo(^-^)o

シャロン・ウォレン、最初はお母さんだってわかりませんでした。
私もお姉さんかと思ってましたもの。

それにしても、差別のある社会というのはひどいものですね。
もちろん日本にもたくさん差別はあるんですけど、
やっぱりそこは島国、比べてみると平和だなあと思います。
映画はいろいろなことを教えてくれ、考えさせてくれるから好きです。

TBについては、正直辟易するところも・・・。
もちろん、ふつうのTBはすごく嬉しいんですけどね。
最近、ひどいTBスパムもありましたし。

TBについてのボーさんの記事、楽しみにしています(^-^)

投稿: うっちー | 2005/02/18 22:47

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/33616/2745372

この記事へのトラックバック一覧です: 「Ray/レイ」:

» Ray レイ [ネタバレ映画館]
 鑑賞中、ジェイミー・フォックスが演じていることなどスッカリ忘れてしまっていた。途中で彼が演じているんだと気づいた時には、あまりにそっくりなので背筋がぞくぞくし... [続きを読む]

受信: 2005/01/31 12:47

» Ray/レイ [或る日の出来事]
RAY2004年 アメリカ作品監督 テイラー・ハックフォード出演 ジェイミー・フォックス、ケリー・ワシントン、レジーナ・キング、シャロン・ウォーレン昨年亡くなっ... [続きを読む]

受信: 2005/02/11 21:27

« 直木賞受賞作「対岸の彼女」 | トップページ | 「オペラ座の怪人」 »